・昨日(7月5日)の為替市場でユーロドルが1.23台まで大きく下落し、5月31日の安値水準に再び接近してきた(グラフ参照)。6月半ばのギリシャ総選挙で最悪シナリオは免れ、EU首脳会議で市場安定化策が決まり債務問題に対する懸念は和らいでいるが、こうした中でユーロ安基調は変わっていない。
・ユーロ安が続く背景はいくつかある。一つは、欧州債務問題が再び悪化する懸念が依然拭えないことである。昨日ユーロ安が進んだ要因として、スペイン国債が売られ金利が上昇したことが挙げられる。スペイン10年国債金利(対ドイツ国債)は、先週のEU首脳会議前の水準まで再び上昇している(グラフ参照)。
・二つめは、ECB(欧州中央銀行)による金融緩和が続く思惑が強まっていることである。昨日ECBは、大方の予想通り25bpの政策金利の引き下げを行った。記者会見でドラギ総裁は、「下方リスクがある」「成長力が弱い」など、景気動向に対して慎重な見通しを示した。こうした発言で、追加金融緩和への思惑が強まり、ユーロ安をもたらしたとみられる。
・今後どうなるだろうか?一つ目の点について、先週合意したESMなどによる市場安定化策はいずれ実現し、一旦市場の緊張は和らぐと想定しているが、ドイツなどの政治事情次第で予想は難しい。ただ、二つ目の点、つまりECBの金融緩和については、今後もユーロ安要因となると思われる。というのも、ECBには金融緩和の余地がまだ大きく、米日と異なりまだ追加利下げが可能である。さらに、今回ドラギ総裁は言及しなかったが、南欧諸国の金利低下を促す国債購入など、金融緩和効果が期待できる対応も残っている。
・6月18日レポートなどでも紹介したが、債務問題が落ち着く方向にあっても、昨年末のように、ECBによる金融緩和期待が残る限り、ユーロ安地合が続くとみられる。また、現状先進各国を見渡すと、経済成長率が最も低いのは欧州であり、これが素直に反映されユーロ安が進むのは自然である。
・なお、為替市場でユーロ安が続く状況は、それがいわゆる「リスクオフ」相場であることを意味するかと言えば、必ずしもそうではない。5月30日レポートでも紹介したが、2011年末に、当局の対応で債務問題が落ち着き始めた時は、ユーロ安が止まらなくても株高が続く局面が訪れた(グラフ参照)。
・そして、足元でも同様に、ユーロドルと米国株市場が乖離し始めているようにみえる(グラフ参照)。しかも、2011年末と同じように、金融システム安定化策・各国中銀による金融緩和など、政策対応策が繰り出されている点は共通している。
・ただ、現在観察される株式市場の「ユーロ離れ」が昨年末と同じように持続するかどうかは、米国を中心とした世界の景気動向次第である。昨日(7月5日)発表された米国の雇用関連指標は悪くなかったが、これまでの判断(昨日レポート)を変えるほどの結果ではない。米国の景気判断は、今晩の6月分雇用統計の結果まで待ちたい。なお、昨日のADP雇用統計の結果を踏まえると、本日の6月雇用統計で、+10万人を超える雇用増に上振れる可能性が高まった(7月6日『米経済の「今」を読む‐経済指標動向』レポート参照)
(チーフ・エコノミスト 村上尚己)
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