韓国の文在寅大統領8月22日、韓国大統領府は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると表明した。 写真は韓国の文在寅大統領。8月2日、ソウルの韓国大統領府で撮影(2019年 ロイター/聨合ニュース)

[ソウル 22日 ロイター] - 韓国大統領府は22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。日本が貿易規制上の優遇措置対象である「ホワイト国」リストから韓国を除外し、両国の安全保障協力環境に「重大な変化」をもたらしたことが理由とした上で、協定の維持は国益にかなわないと判断したと表明した。

 今回の決定に先立ち、大統領府の国家安全保障会議(NSC)は数時間にわたる協議を行った。協定の更新期限は今月24日で、日韓のどちらかが破棄を通告しない限り自動的に延長されることになっていた。

 会見した大統領府の金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は、日本政府が明確な証拠を提示せず、安全保障上の懸念を理由に韓国をホワイト国のリストから除外したと発言。これにより、両国の安全保障協力環境に「重大な変化」が生じたとの認識を示した。

 その上で「このような状況では、安全保障上、敏感な軍事情報を交換する目的で調印した協定を維持することは国益にかなわないと判断した」とし、日本政府に対し期日までに正式な通知を行うと述べた。

 河野太郎外相は談話を発表し、韓国による軍事情報協定の破棄決定は「地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ず、極めて遺憾」とした上で、協定終了の決定と輸出管理の見直しは全く次元の異なる問題であり、韓国側の主張は全く受け入れられず、韓国政府に対し断固抗議すると表明。南官杓駐日韓国大使を外務省に呼び、直接申し入れを行った。

 カナダを訪問中のポンペオ米国務長官は記者団に対し「韓国の決定に失望した。日韓両国に対し引き続き連携を求める」と語った。韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と22日に電話協議したことを明かし、「日韓の共通利益が米国にとって重要であることは疑いがない」と強調した。

 米国防総省のイーストバーン報道官は、日韓関係の他の領域で摩擦が存在しても、米国は引き続き相互防衛と安全保障の連携において完全性を確保する必要があると指摘。同省は韓国の決定に「強い懸念と失望を表明する」と述べた。

 韓国の康外相は記者団に対し、日本への信頼喪失が今回の決定を招いたと強調し、「引き続き米国との協力関係を強化するとともに同盟関係の発展に努める」と語った。

 ダニエル・ラッセル元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)はオンライン・ニュースレター「ネルソン・レポート」で、「これは米国第一主義がもたらした結果だ。あらゆる国が他国との連携網よりも自国を優先させている」と分析。「北朝鮮が保有する核・弾道ミサイルが急速に拡大しているこのタイミングでのGSOMIAの破棄は、直接的に米国の安全保障を損なう」もので、中国の発言力や国力の高まりが前例のない大きな課題となる中、米国主導の同盟体制の崩壊は「大惨事」であると指摘した。

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