野田首相、谷垣総裁、橋下市長など、わが国の政治リーダーの立ち居振る舞いを巡って、リーダー論が姦しい。そこで、今回はリーダーシップについて考えてみたい。

リーダーの3要件

 リーダーの要件として何が必要か。「思い」「共感力」「統率力」の3つが必要不可欠であると考える。

 社長が、あるプロジェクトを起案し、そのリーダーにある役員を指名したとしよう。その役員が、「こんな難しいプロジェクトのリーダーは嫌だ。でも、社長の命令だから仕方がない。ここは、一先ず、適当に波風立てずにやるしかないか」等と考えたと仮定しよう。そんな役員の下で働くプロジェクトメンバーが、奮い立つはずがない。リーダーに真っ先に何よりも求められることは、「自分は、これだけは何としてもやり遂げたい」という強い「思い」があるかないかということである。

 筆者は、日頃から、生きること、即ち、働くことは、「世界経営計画のサブシステムを生きること」だと考えている。分かりやすく言い換えれば、「この世界をどのようなものとして理解し、どこを変えたいと思い、自分はその中でどの部分を受け持って生きるのか」ということである。

 もちろん、世界の森羅万象を正しく理解するためには、一定のリベラルアーツの知見が不可欠であることは、言を俟たないが。何れにせよ、これに従えば、リーダーに必要な「思い」とは、何よりも「世界経営計画のサブシステム」がはっきりと明確に自覚されていることだと考える。

 次に、何事かを成し遂げるためには、ほとんどの場合、他人の助けを借りる必要がある。つまり、リーダーは長い旅を共にする仲間を集めなければならない。仲間を集めるためには、リーダーが自らの「思い」を正直に吐露し、説明・説得して仲間を自らの思いに共感させる必要がある。即ち、リーダーの2つ目の要件は、強い「共感力」を持つことではないか。