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7月10日 18時0分
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日銀は追加金融緩和するか〜据え置きに変わった市場予想〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

・先週木曜日、ECB(欧州中央銀行)が政策金利を引き下げ、同日に中国人民銀行も金融緩和を行うなど、各国中央銀行による金融緩和政策に対する期待が高まっている。今週(7月11、12日)、日本銀行の金融政策決定会合が行われる。

・同会合について、先週金曜日(7月6日)の時点では、日経新聞の「追加緩和に根強い期待」という記事で、14名中8名と半数以上の民間エコノミストらが、4月以来の追加金融緩和を予想していることが報じられた。なお、筆者もこの調査に協力しているが、「追加金融緩和を見送る」と回答しこの時点では少数派に属していた。

・日経記事では、「市場の緩和期待は根強い」一方、日銀は金融緩和に積極的ではないことが指摘されていた。「市場の期待」と「日銀の対応」のズレが問題であることが記事で示唆されていた。

・その後、週末7月7日(土)の日経新聞に、「追加金融緩和は見送りへ」という観測記事が掲載された。日経は取材を通じて、金融緩和が見送られる可能性が高いという結論に至った模様だ。具体的には、資産買入基金増額という追加緩和策を見送る一方、「資産買入れ手法の見直し」「買入れ対象の国債年限を見直し」が議論されるとされている。こうした詳細が報じられる観測報道は、実際に当たるケースが多い。

・そして、本日判明したブルームバーグ社による、エコノミスト13名に対する調査では、9名が現状維持と答えている。日経によるアンケートと回答者が異なることもあるが、週末の「金融緩和見送り」の報道もあり、「現状維持」の予想が多数派になったということだろうか。

・なお筆者が、今回、日銀が金融緩和を見送ると先週から予想したのは、短観などの改善をうけて日銀による景気判断・予想がほとんど変らず、それが政策据え置きの理由になると、考えたためである。

・もちろん、景気回復を妨げる海外発のリスクが高まっており、金融緩和を強めそのショックに備える選択肢がある。脱デフレの早期実現を目指すならば、こうした対応も十分ありえるだろう。

・ただ、日銀は今年2月に+1%の物価目標を掲げた後も、それを実現する強い意思を持っているようにみられない。実際には追加金融緩和の弊害について白川総裁が何度も指摘するなど、「緩和しすぎのリスク」に配慮しながら政策を続けている。

・先週利下げしたECBやFRBは、今後の追加金融緩和の可能性や効果を、市場に自ら発信している。一方、それらと比べると、日銀の追加緩和への姿勢は前向きとは思われない。2012年2月以前と同様の伝統的な政策姿勢は変わらず、経済が平常時にあるという前提で、短観などの経済指標の動きを重視する。このため、今回は金融緩和を見送ると予想したわけだ。

・他国と異なり、深刻なデフレに苦しむ日本は、仮に金融緩和を強化してもそのコストは他国と比べてかなり小さい。だから、早期の脱デフレに強くコミットして、他国よりも強力に金融緩和を行うのが正常な政策運営だと思われる。こうした考えで日銀が、脱デフレに直結するアグレッシブな政策を続けるという期待が市場で浮上したのが、2月14日のバレンタインデー金融緩和だった。このため、為替市場では円安が進んだ(グラフ参照)。


・今週、筆者らの予想を裏切る形で、日銀が機敏に金融緩和の強化を行えば、2月のように為替市場で円安が進む可能性があるが、それは期待しづらいだろう。むしろ、景気減速リスクやデフレの弊害に鈍感な政策姿勢が、市場に失望を及ぼす展開に警戒したい。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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