カネではなく、人のためになるサービスを

“起業家”という生き方は、私自身の志をも成長させてくれているものです。だから、ECの会社を閉じて、次に何をやるかと考えた時に、本当に人のためになるサービスをつくろうと決めました。私が助けられたGhostRecは、ウェブの分析しかできないツールです。だったらその「アプリ版」を作ろうときめたのがRepro創業のきっかけです。今は志も製品も、成長を続けています。社員は現在200人まで拡大しました。売上高も順調に推移しています。

 今考えれば、これまで2回の起業は、高校2年で決めた気持ちが動機になったものでした。サイトをつくって、5億円で売って、好きに旅をする人生を過ごす――結局そういう考えでは、自分のお金のために起業している状況だったので、うまくいかなかったんだろうなと思います。近江商人の教えとして「商売は世の為、人の為」というのがありますが、まさにその通りなんです。自分が起業して、世に貢献するということを考えられていませんでした。コンサル時代の先輩にも、そういって怒られたことがあります。

「自分が金持ちになるために起業する」というマインドはサービスにも反映されるし、何より従業員にバレるんですよ。コンサルでは「頂いている以上の価値を相手に提供する」と言っていたんですが、結局は自分のための起業になっていました。そんな低い理念や視座では人はついてこないし、サービスもちょっと利益が出たら頭打ちになります。

 起業で失敗をすると、本当に、無茶苦茶に、つらいことがあるんですよ。昨日までは仕事終わりに、コンビニで買った安い缶チューハイを一緒に飲んでいたような仲間だって、いざ会社がつぶれかけたら、喫煙スペースでこそこそと悪口を言うようになります。あらためて思うのは、創業者のマインドセットの大切さです。本気で会社に来てくれた仲間に対してはウソを言わない。たとえメディアの前ではいいことを言っても、本心が「金もうけだ」というなら、仲間にも素直にそう話した方がいいですよね。

 おかげさまで私自身の人生の目標は何度か上方修正できているので、今度は日本のために何をしていくべきか考えています。Reproは今、海外進出を進めています。僕はあらためて、「日本人が外貨を獲得する」というのを、先頭を切ってやっていきたい。今年はシンガポールに法人を立ち上げましたが、1年半後にはインドにも進出して、アジアでシェアナンバーワンを本気で取ろうと思っています。きつい勝負かもしれませんが、最初の起業から10年以上も泥水をすすり続けてきました。同じことをやるだけです。