だから、CriteoやOutbrainといった海外企業がやっていたレコメンド広告の領域に「挑戦しなかった」というのは失敗です。自分の無能さというか、「できたのにやっていない」。参入する能力もあり、海外の動向から流れも見えていたのに投資できていないわけです。キュレーションメディアや、仮想通貨といった領域に参入できていなかったことも失敗です。

 逆に、10億円の事業投資でミスをする、社員が離反して事業ごと他社に持って行かれたということは、正直なところ、些末で想定できる範囲内だったりします。

広告事業を創造するには「探索的に正解を見つける」

 常に自分の頭の中では、「既存の事業がどういう数字になればブレイクイーブンを越えるのか」ということは意識していて、そのためのあらゆる係数は頭の中にたたき込んでいます。その数字をベースに自分たちが何をできるかを考えています。

 そんな判断をしていたところは、「自分たちとはこうである」という思い込みが強かったんだと思います。もともとプロダクトアウトな発想を持っていたので、「自分たちとは」という定義が強い。機会やユーザー側の需要に合わせて事業構造を作れていなかったんだと思います。

 事業を創造するとき、目的やゴールを設定して、そこにどうやって最短距離で到達できるか逆算する方法と、探索的に正解を探していく方法があります。

 インターネット広告領域の事業は後者であるべきだと思います。自分たちのできることをやりながら、新たな事業の機会を発見していくのです。大半は失敗するんですが、その失敗を軽度で、巻き戻し可能なものにすることが大事です。自分たちがあと何回打席に立てるのかをきちんと理解していくことが、成功に繋がるのだと思います。