東南アジアでの成功に
必要不可欠な視点

 前回に引き続き、アジア進出の“肝”、今回はASEANを中心とした東南アジアのビジネス成功に必要不可欠な、マーケティングの視点をお伝えしていく。

 どの地域でビジネスを進めていく上でも必要な視点なのだが、東南アジアでビジネスを進めていく際、必ず押さえるべきは、「どこで」、「誰に」、「何を」、「どのように」売っていくのかという、マーケティングの視点を持ち、販売戦略を組み立てて進めていくことだ。失敗する企業では、この当たり前の視点が抜けていることが多い。

「日本で売れているから」
は通用しない

 よくある失敗のケースでは、上記マーケティングの視点に基づいた販売戦略の策定が不十分なまま、「自分達の商品は高品質だから東南アジアでも売れるはずだ」、「東南アジア市場は人口が多いから成功するはずだ」、「現地の代理店が売れると言っているので彼らに任せていれば安心だ」といった理由で安易に進出し、その結果、思うように収益をあげることができずに撤退というケースだ。

 東南アジアでのビジネスは、「人口が多いから」、「日本で売れているから」といったことだけで成功するほど甘くはない。東南アジア諸国は複数の民族から成り、国籍や宗教、そして生活習慣や商習慣も大きく異なる。更に、一つの国の中でも大きな所得格差がある。そのため、ビジネスを成功させていくために、日本とは異なる、東南アジア地域に適した販売戦略が求められるのである。