小沢一郎氏が、ついにというか、とうとうと言うか、民主党を離党し、新党を旗揚げした。郎党を50名ほど連れて出たから、野田首相周辺は、「馬鹿が出て行ってくれてせいせいした」などと言う議員もいると聞くが、侮ってはいけないだろう。マスコミの小沢氏嫌いもまだまだ強く、成算ない、人材ない、金ないの「3ない新党」などと言いたい放題だが、歴戦の勇士である小沢氏のことだ、それほど馬鹿にしたものではないかもしれない。

 今回の離党、新党結成を孫子の兵法に従って、ちょっと見てみることにする。すなわち小沢氏が孫子の兵法を学んで、今回の離党を実行したという仮定に立ってみるのだ。小沢氏の愛読書に孫子の兵法があるかどうかは知らないが、何かが見えて来るかもしれない。

「兵(戦争)」に大事な5条件

 孫子は、冒頭に「兵は国の大事」と言う。続けて「死生の地、存亡の道なり」と言う。すなわち戦争とは、国民の生死、国家の存亡がかかっているということだ。

 小沢氏は、野田民主党に宣戦布告したわけだが、「国民生活第一」ということを主張しているように、この戦争が、国家、国民の存亡に重大な関わりがあると認識していると考える。

 そこで孫子は、「兵(戦争)」には、5条件が大事という。「道・天・地・将・法」の五つだ。

 第1の「道」は「大義」だ。これがないと戦争は無意味な殺戮でしかない。兵士も人民も大義があるからこそ、君主とともに命を捨てる気になるのだ。

 小沢氏は、大義は自分にあると判断している。野田首相は、消費税は上げないと言って選挙を戦って来た。また原発も脱原発の路線を踏襲すると言っていた。それを簡単に翻した。国民の生活を守るためだとか屁理屈をこねているが、多弁なだけで、国民は、彼の裏切りを見抜いている。筋から言えば、「消費税を上げる、原発を動かす」ということで解散総選挙を行うべきなのだ。