認知は上がったが、理解されていなかった

 このあたりの失敗の理由は、会社の認知度を上げることだけにこだわりすぎたことだと思っています。僕たちは資金調達や取り組みについては発信していたんですが、当然それだけではダメだったんです。

 会社の認知度こそ上がったのですが、理解度は上がっていなかったんです。入社を決めた社員に対しての「嫁ブロック」「親ブロック」――つまり家族が反対するということもありました。投資家についても、結果として自分たちのことを信じてもらえる人だけに頼むことができましたが、先方から「会いたい」と言われて会った投資家に、成功するのか疑問視されることもありました。

 我々にとっては起業からの延長線上にある出来事でも、外から見るとストーリーが理解されていなかったんです。だから最初は、「デザインの人が資金調達しちゃった」とも思われましたし、cowcamoも「本気ではない、趣味のサービスではないか」と思われてエンジニアが集まりませんでした。投資家や新しい仲間に理解してもらい、信じてもらうことができていなかったんです。

トップが自分自身の言葉で伝えないと、伝わらない

 僕たちは上場したところですが、まだ“大気圏”を越えるような成功をしているわけではないと思っています。そこを越えるためには、トップがサボらず、汗をかくしかありません。たとえば採用についても、気になった人に直接会って、ファンになってもらうことを意識します。

 人生の1つの期間を過ごしてもらうことになるわけですから、本気になって理解してもらうには、創業者のビジョンを伝えるしかないんです。今は120人ほどのメンバーがいますが、面接では全員に会うようにしてきました。

 結局は「こいつ本気だな」と思ってもらうことを積み重ねるしかないんです。起業家は周囲にとやかく言われようとも、信じたことをやり抜くだけです。自分自身の熱や炎を絶やさず、自分自身の言葉で、社内にも、社外にも語り続けていかないといけません。それをやりきれる人も少ないので。

村上浩輝(むらかみ・ひろき)
ツクルバ 代表取締役 CEO  
1985年東京都生まれ、立教大学社会学部産業関係学科(現経営学部)卒業。学生時代より事業を行い、スコット・デイヴィス研究室に所属。不動産ディベロッパーのコスモスイニシアに新卒入社、同社にて事業用不動産のアセットマネジメント事業に従事するが、リーマンショックの影響でリストラ。その後、不動産情報ポータルサイトHOME’Sを運営するネクスト(現:株式会社LIFULL)で関連ITサービスの営業・企画開発・プロモーション戦略に従事。新規サービスの功績などで、在籍中はMVPを複数回受賞。2011年8月にツクルバを共同創業、代表取締役CEOに就任、現職。