「%」が分からない大学生を量産、日本の数学教育の致命的欠陥バーゲンの割引率を見てもわからない学生もいるのかも?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

「%」は、言わずと知れた世界共通の言葉である。しかしタイトルの通り、近年「%」が分からない大学生が増えているという。本書『「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠陥』によると、食塩水の濃度の問題において、2012年と1983年の全国学力テストの結果を比べると、前者は後者より正答率が20%も下がっている。背景には、「やり方」を覚えるだけの教育や社会の風潮がある。本書は、来るべきAI時代に備え、日本の数学教育の根本的改善に向けた提言をまとめたものである。

 本書は、やり方ではなくプロセスを重視する学び方の重要性を説く。暗記のみに終始する現代の数学教育の問題点を指摘するだけではなく、現代社会にあふれる情報を、数字を使ってよりわかりやすく理解する手法も例示されている。何を隠そうゆとり世代である要約者自身も、学生時代に要領のよい覚え方でテストをパスした後は、本書を読むまで関数や微分などの考え方はすっかり忘れていたのである。考え方をきちんと理解すれば、数学はこんなにも役に立つのだということを著者によって示され、自身の学び方を反省せざるを得ない。