甘みを抑えたつゆが返し醤油のさわやかさを強調
喉を通るときに鰹の旨みが感じられる

 つゆは甘みを抑えて、返し醤油のさわやかさを強調してある。鰹節の香りは蕎麦の風味の邪魔をしない。むしろ、鰹の香りは抑えてしまって、蕎麦が喉を通るときに鰹の旨みが感じられればいいという。あくまで蕎麦が主役で、つゆは脇役という考え方なのだ。

 それが、温蕎麦となるとまたがらっと考え方を変える。半日かけて茹で上げた鰊の旨みが熱い汁に溶け込んでいる。この汁を飲み干して旨みを感じて欲しいからせいろのつゆとは鰹節の配分を変えてあるという。

たっぷりとした大きな鰊がのった蕎麦。これもみがき鰊をあく抜きしながら戻し、半日かけてやわらかに煮込む。鰊独特の旨みのある脂を身に残しながら煮出すのがこつだという。二八蕎麦にその鰊からこぼれた旨み汁が絡む。

 熱い出し汁に泳ぐ二八蕎麦は腰の強さを保ち、その汁をたっぷり絡んで舌を満足させる。「さとう」の懐石には鍋がつきものになっていて、締めにその鍋の中のたっぷり旨みが落ちた汁で温めてくれる二八蕎麦が呼び物になる。

 個室で、前菜、お造り、天ぷら、鍋、そして粋蕎麦で仕上げるもよし、カウンターで気のあった仲間とワインをあけるのもよし、日本の季節の折々の食材が極上の膳となって、目に美しい。

「俺には特別な処がある」と言って誘う店がひとつ増えることになる。

そば割烹 さとう
●営業案内
・住所:東京都港区西麻布4-1-5大友ビル 2F
・電話:03-3797-0163
・営業時間:17:30~23:00 定休・月曜
・HP:http://www.sobakappou-satou.com/
●予算:3000~8000円
●おすすめ:ざるそば(950円)、鴨汁せいろ(1600円)、出汁巻き玉子、板わさ(共に850円)、旬物造り(1890円)、鴨鍋(4200円)などあるが、「さとう」はコース料理やお任せにする客がほとんどだ。
●酒・料理:日本酒は白岳仙、麒麟山などの人気酒を揃え、ワインがグラスからフルボトルまである。白、赤が3000円台からそれぞれ8銘柄ほど用意してある。お任せ(8400円)は当日でもOK、コースは予算で応じてくれる。
●訪問:4人、6人の会食ならテーブル席で、また個室にもなるから接待にもよい。気のおけないお得意ならカウンターでワインとコース料理を。
●地図こちら