AKIMASA HARADA/GETTY IMAGES

現代の経営では、データに基づく意思決定がより重要性を増している。データサイエンティストは重要な役割を担うが、多くの企業が彼らの生態を理解していない。データサイエンティストは上司の指示で動くわけでなく、内発的な好奇心に動かされるものだ。スティッチ・フィックスのエリック・コルソンが、その性質を明らかにしたうえで、彼らの力を最大限に発揮するために必要な3つのポイントを語る。


 データサイエンスは企業にとって、他社とは一線を画す革新的なケイパビリティを与えてくれる。だが、このような革新的なケイパビリティは、データサイエンティストが設計したり予測したりして生まれるというよりもむしろ、好奇心主導のティンカリング(試行錯誤)を通じて見出されるものである。

 そこで、データサイエンスの流行に飛び乗る前に、その環境整備を検討したい。「自社の事業計画をデータサイエンスがいかに支援し実行するか」よりも、「想像もしいなかったことをデータサイエンティストが思いつくよう、権限を持たせる環境をいかに整えるか」に、より検討の時間を割くのである。

 まず、少し背景を説明しよう。私は、オンラインのパーソナル・スタイリング・サービスを提供するスティッチ・フィックス(Stitch Fix)でチーフ・アルゴリズム・オフィサー(訳注:本稿執筆時点)を務めている。米国内の顧客は270万人に上り、2020年には英国に進出する計画だ。

 そのサービスの新規性ゆえに、我々は先例のないデータを独占的に、そこから学習するのにほぼ理想的な状態で手にしている。

 我が社には100人以上のデータサイエンティストがいて、会社全体で利用されるアルゴリズムのケイパビリティを強化している。レコメンダー・システムから商品購入、在庫管理、関係管理、物流、オペレーションに加え、服のデザインをするためのアルゴリズムまである。それぞれが実質的で測定可能なリターンをもたらし、顧客へのよりよいサービスの提供を可能にし、一方で、競争から守る防護壁も提供してくれている。

 これらのケイパビリティのどれ一つとして、経営幹部や製品マネジャー、あるいは分野の専門家による要求からは生まれていない。データサイエンス部門長の要求ですらない(間違いなく、私の要求でもない)。そうではなく、データサイエンティストの好奇心と、自由なティンカリングから生まれたものである。