中国 2019年10月2日

中国の教育がますますエスカレート!
宿題をしている様子の動画まで提出!

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2006年に中国に移住し、蘇州、北京、広州、その後上海に約8年在住。情報誌の編集長を経て現在はフリーランスとして活躍する大橋史彦さん。今回は日本にいるからこそわかった、激化する中国の教育事情についてです。

 子どもの教育が原因で2016年、10年弱暮らした中国から拠点を日本に移したが、それは中国人である妻の意向でもあった。私からすると、教育にかかるコストの差からそうせざるをえないと考えていたのだが、妻は、息子を勉強漬けの生活に置きたくないと考えていたのだ。しかし、実際に長男が日本の小学校に通いはじめると、妻の理想とは少し違っていたようだ。

中国人が宿題に費やす時間は世界平均の3倍

 長男は残念ながら親に似て頭のできがよくなく、ため息が出るほど物覚えが悪いため、公文式教室に通わせている。公文式は、子どもの成功体験を積み重ねることで勉強を習慣化するという方針のため、問題が解きやすいよう、その子の能力よりも少し平易な課題を与える。すると我が長男のようなできの悪い子は、学校の進度より遅れることになる。妻はそれに焦りを感じるようだ。
 
 公文式は毎日宿題を課せられるが、それだけでは生ぬるいと、中国で買ってきたテキストも毎日やらせている。それに学校の宿題も加わり、勉強漬けを回避しようとしていたはずが、結局、一般的な日本の子どもよりも勉強時間が長くなっているのだ。

 どうやら公文式の考え方は、結果をすぐに求める中国人には合わないようだ。長男の幼稚園時代の友だちの中国人が、やはり今年から公文式をはじめたが、「問題が簡単すぎる」という理由で半年も経たずにやめてしまった。公文式は中国にも進出しているが、日本とまったく同じ考え方だと、現地では受け入れられないのではないだろうか。

 確かに中国の現状を見ると、彼女たちが焦らない気持ちもわからなくはない。学習アプリを開発する「北京阿凡題(afanti)科技」が2017年12月に公表した「中国小中高生宿題ストレスレポート(中国中小学写作業圧力報告)」によると、中国の小中高生が宿題に費やす時間は1日平均2.82時間で、世界平均の3倍になるという。
 
 それだけの分量を子どもだけでこなすのは難しく、78%の親が毎日子どもの宿題に付き添い、4分の3の親子が宿題が原因で衝突しているという。一人っ子政策を撤廃しながら中国の出生率が伸びない要因は、経済的な理由よりもむしろ、こうした教育における物理的負担が大きいのではないだろうか。

上海市内の小学校。下校前が貴重な遊ぶ時間だ。そばでは迎えに来た親が待っている【撮影/大橋史彦】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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