入社した「その先」は見えているか
内定をゴールにしない採用でミスマッチ防止

タニモク
他人に目標をたててもらうワークショップ「タニモク」の様子 写真提供:パーソルキャリア提供

 企業と新入社員のミスマッチを減らすための取り組みをしている企業の1つが、パーソルキャリアだ。同社では、内定者と社員がお互いの目標を考え合うワークショップを実施した。

 社員と話をしてみたいという声が内定者から多く出たことと、「当社の社員は目標を意識して仕事をしているので、そのカルチャーを理解してもらうのがミスマッチ防止にもつながると考えた」(パーソルキャリア人事本部新卒採用部ゼネラルマネジャー・小池英介氏)ことが開催のきっかけだ。

 近年は200人以上の新人を迎えている同社。内定者フォローには「横のつながりが重要」(小池氏)と考え、内定者同士で顔を合わせたり、課題に取り組んだりする機会づくりにも注力する。加えて、キャリアカレッジという制度で、業界や職種について大学の講義のように選択的に学べるコンテンツを用意し、具体的な入社後のイメージを持てるよう工夫している。

 入社後にその選択を後悔することがないように、「内定者一人ひとりに人事のフォロー担当を付ける」(小池氏)など、希望や悩みを共有しやすい体制があるのも特徴的だ。

 また、ブランド品買取・販売事業を手がけるSOUは、今年で4回目となる新卒採用で、大胆にも面接を最終面接の1回のみとした。代わりに実施したのは、学生に自分の好きなことや将来のビジョンを考えさせる数回のワークショップ。「やりたいことが定まっていない学生が多い」(SOU経営管理本部人事部人材開発課・小田桐賢太氏)という点に着目し、就活に悩む学生に価値を提供できれば、という思いで企画した。

 自分自身の好きなことを知るところから、将来のビジョン、どの業界・企業が自分に合うかというところまで、「当社がその中に入っているかどうかは関係なく」(同人事課・大森直人氏)、自分のキャリアに対する考えを深めてもらった。

「入社を決めてくれた子は、もともと当社が“志望群”にすら入っていなかったような子たちがほとんど」(大森氏)と振り返る。学生たちがキャリアを考える機会を作り、社員がそのサポートをすることで、良い関係性を築くことができた。ワークショップを通して見えてきた学生一人ひとりの志向に合った部署の社員と面談機会を設けるなど、自社を理解してもらう施策もスムーズに進んだという。結果的に、9月時点での内定者数、内定承諾率ともに昨年よりも良い成果となった。

 就活中、学生は「内定を取ること」だけが目的になってしてしまいがちだ。選考期間の中で内定をゴールにせず、入社したその先をいかに具体的にイメージさせられるかが、採用する側の企業に問われている。