「音楽性の違い」から、一度社長を退く

 もともと私は創業から社長をやってたんですが、上場前にはエンジニアリングよりも、社内体制をどうするかといった形式的な業務が増えてきました。そうなると、もともと自分自身がやりたいと思っていたこととの乖離(かいり)を感じるようになってきました。それで、その時に一度社長を自分から辞めるという選択をしました。今から思えば「若気の至り」や「音楽性の違い」かもしれませんが、結果として会社を離れる決断をしました。当時、上場が「手段」なのか「目的」なのか分からなくなっていたところも大きかったんです。

 上場ってあくまで目標だったのですが、それを達成するために証券会社や監査法人からさまざまな指摘を受けることが多かったんです。本来ならそういう外部からの指摘と自分のやりたいことの折り合いをつけていくべきなんですが、当時は「上場するために変な犠牲を生むのは、やってられん」と。結局は筆頭株主でしたし、オーナーという立場でもあったので、副社長として経営陣に残って上場しました。

上場して、売り上げが目的化してしまった

 そんなことを言っていたのですが、いざ上場したら上場したで、シンプルに心地よくなってしまいました。当時はまだ、ライブドアショックの前でしたから株価もよかった。一夜にして億万長者になるわけで、それ自体は夢のある話です。上場が1つの目標であったのは間違いないので、それが達成されたということですごく喜んでいたのを記憶しています。勢い余ってその当時いろいろ遊びまわったりすることもありました。個人のことで言えば、大阪なら北新地、東京だったら六本木あたりにも遊びに行きました。

 あと、会社のことで言うと、買収案件が来るんですよね。そうなるとどんどん買収するわけなんですよ。ステータスのためということもあったのかもしれませんが、結局は「売り上げのためだ」と言って買収することが増えてしまいました。買収先とうまく付き合うことができるスキルもないのに、どんどんグループが広がっていってしまう。オンラインゲームも、海外事業も、ソフトハウスの買収も。動画配信も始めることになりました。