彼らは皆、高い学費と生活費を支払い、必死に勉強して日本に滞在している。中には借金を抱えていたり、故郷の村の期待を一身に背負い来日していたりと、複雑な事情を抱えている者もいる。

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 話を聞いていて感じたのは、面接の作法や語学の資格がどのレベルまで必要なのかなど日本の就職活動事情を、ゴーウェルに来るまで全く把握していない学生が多かったことだ。

「中国人や韓国人だと、すでに日本の中に出身国のコミュニティがあるので情報を得やすいのですが、非漢字圏の国だとコミュニティも小さく、自国語で入手できる情報があまりないんです。日本の就職について何も知らない状態で相談しにくる外国人が多いです」(松田氏)

外国人と地方創生のマッチング

 ゴーウェルのような就職支援会社を実際に活用するのは、人材不足に悩まされている中小企業や、外国人向けのサービス業・観光業が多い。特に、松田氏は「深刻な労働力不足問題を抱える地方企業には最適だ」と主張する。

「外国人留学生は、学校の多い首都圏に固まっています。そのため、地方の企業が、外国人採用という選択肢を知る機会自体がないんです。知ってもらうことさえできれば、爆発的に雇用が増え、地方創生にも役立つと考えています」(松田氏)

 実際に、愛媛県の伊予銀行や九州の地域特化型投資ファンドを運営しているドーガンと業務提携するなど、ゴーウェルが地方の金融機関や自治体と連携し、地方企業へ人材紹介を行うケースも増えている。

日本企業がもつ外国人への潜在的な思い込み

 一方で、日本企業の外国人採用への理解は、想像以上に進んでいないのが現状だ。

「外国人も日本人と同じように就職活動しているのに、採用する気がない企業がほとんどです。リスクを取りたくないため『派遣として雇いたい』と相談されることも多い」(松田氏)

 確かに、外国人には日本人特有の“空気を読む”文化はないため、阿吽の呼吸は通じない。しかし、彼らの学びへの意欲は並大抵のものではない。日本へ強い憧れをもち、世界的に見ても難しい言語を習得し、就職しようとしているのだ。外国人だからというだけで、不安視するのは早計だ。

「就職できたとしても職場で理解が進んでいないと、外国人労働者への差別が横行することもあります。 “外国人だから”としてしまう、根底にある意識を変えていく必要があります」(松田氏)