タンタルやコバルトといった金属を追跡する新たなデジタル手法の成否に対しては、特にテスラ、ゼネラルモーターズ、フォードといった自動車メーカーを中心とする企業から高い関心が寄せられている。

 欧州でも米国でも、原材料のエンドユーザーに対して、サプライチェーンが「クリーン」であることを証明するよう求める監督当局からの圧力が高まっているからだ。

 今のところ企業各社は、もっぱら紙ベースの認証制度に頼っている。だが、国連の専門家らは、鉱物の生産履歴証明に用いられるタグがコンゴ東部の別の場所で盗まれ、密輸業者に売却された事例を報告している。こうなれば、ブラックリストに載せられた鉱山からの鉱石が、責任ある生産地によるものとして通用してしまう。

写真は8月、コンゴ東部ルバヤのSMB所有の鉱山で使われている、採掘されたコルタンの鉱石の袋のバーコード読み取るスキャナーを見せる男性(2019年 ロイター/Aaron Ross)

 モーブレー氏は、同社の新システムでは、新たな障壁を導入することにより、SMB製品への「汚れた」鉱石の混入を予防しやすくなると話している。たとえば密輸業者が盗んだタグを利用するには、スキャナーとそれを接続したノートパソコンも合わせて盗まなければならない。しかし、それでは簡単に盗難が露顕してしまうだろう。

 とはいえ、モーブレー氏はこのシステムに限界があることも認めている。その1つが、鉱石のタグ付けがどこで行われたか、GPS座標によってリアルタイムで特定する既存のテクノロジーを採用していない点だ。主として関連するコストの抑制が、理由だとモーブレー氏は説明する。

 さらにSMBのベン・ンワンガチュチュ(Ben Mwangachuchu)CEOによれば、デジタル方式のシステムでも、腐敗の可能性はある。袋にタグを付ける政府の担当者が密輸業者と共謀し、最初から不正確なデータを入力するような場合だ。

「もし、彼らが結託して自分たちの利益のために、都合のいい情報を流すということになれば、絶対にバレないだろう」

タグの盗難

 自動車メーカーや、アップル、サムスン、IBMといったエレクトロニクス企業は、いずれもノートパソコンやゲーム機、電気自動車用バッテリーなどの製品に使用される金属が、責任ある形で調達されたことを証明するよう圧力を受けている。

 米国は2010年、米国の上場企業に対し、自社製品が同地域産のタンタル、スズ、タングステン、金を含んでいるか否かを開示し、デューディリジェンスを遵守するよう義務づける法律を可決した。