GPSテクノロジーの活用

 ルバヤに近いSMBの採掘現場では、緑と青のゴム長靴を履いた採掘労働者らが、流れの速い小川で鉱石を洗い、数百メートル離れたタグ付け拠点まで運んでいく。監視を容易にするため、タグ付けは以前よりも採掘現場の近くで行われるようになっている。

写真は8月、コンゴ東部ルバヤのSMB所有の鉱山で、コルタン鉱石を見せる男性(2019年 ロイター//Baz Ratner)

 このスキームを実施しているRCS社員は、政府担当者によるタグ付け、スキャン、データのアップロードを見守っている。サンプル採取・値付けを行う近隣の保管拠点である倉庫に運ぶ時、また、ゴーマ(Goma)経由でインド洋の海岸からアジア向けに出荷する時にも、この手順が繰り返される。

 モーブレー氏によれば、RCSのドイツ国内チームは全てのデータをリアルタイムで検証することができ、生産量の不自然な急増などの異常を特定し、買い手企業にリスクを報告することが可能だという。

 コンゴ東部以外で行われている他のプロジェクトでは、さらに先進的なテクノロジーを使って、複雑なサプライチェーン全体にわたって鉱物を追跡できるようにしている。

 コンゴ南部では、RCSがフォードやIBMなどの企業と提携し、リチウムイオン電池の材料となるコバルトの追跡を行っている。このシステムでは、ビットコインを支えるテクノロジーであるブロックチェーンを使い、改ざん不可能な記録を作成している。

 ロンドンを拠点とするスタートアップ企業・サーキュラーも今年、ジーリー(吉利汽車)<0175.HK>傘下のボルボ・カーズのために、ブロックチェーンを利用して中国国内におけるリサイクルによって再生できるコバルトの分布把握を支援している。

 また、サーキュラーは、鉱石がどこでタグ付けされたかを正確に特定するGPS機能や採掘労働者の身元確認のための顔認識ソフトウェアを搭載したスマートフォンを使って、ルワンダにおける鉱山の監視を行っている。

 これらのプロジェクトは、紛争地域から離れた比較的リスクの低い鉱山を対象としているが、サーキュラーのダグラス・ジョンソンポーンスゲン(Douglas Johnson-Poensgen)CEOは、こうしたイノベーションはコンゴ東部でも応用できる可能性があると話している。