アクティビジョンPhoto:Smith Collection/Gado /gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 注目の新作ビデオゲームを発売するのに悪い時期などないように思えるが、アクティビジョン・ブリザードはそれを見つけたのかもしれない。

 米ゲームソフト大手のアクティビジョンは先週、新作モバイル版アプリ「コールオブデューティー:モバイル(Call of Duty: Mobile)」の配信を開始し、大きな人気を呼んでいる。大ヒットしたゲームシリーズのモバイルゲームは以前にもあったが、ゲーム専用機版やパソコン版でしか経験できなかったような、本格的なマルチプレー型ゲームのモバイル版は初めてだ。ヒットしている。センサー・タワーによると、ダウンロードは発売初週に1億回に達し、世界で売上高は約1000万ドル(約10億7000万円)に達した。ちなみに大ヒット作「フォートナイト」のモバイル版の初週売上高はわずか330万ドルだった。

 さらに注目すべきは、アクティビジョンが中国抜きでこの数字を達成したことだ。同国では、「コールオブデューティー:モバイル」はまだ政府の承認を得られていない。世界最大のモバイルゲーム市場である中国は、アップルのモバイル端末向け基本ソフト(OS)「iOS」上で生まれるゲーム収入の約3分の1を占めている(センサー・タワーによる推計)。

 中国への拡大は、この新作アプリの大きな追い風になるだろう。ただ、アクティビジョンは、香港のデモを巡る議論に自社が巻き込まれたことをつい最近知った。そして、この問題の渦中にある他の欧米企業と同様、簡単に勝つ方法はないことを理解しつつある。