イラクでこれほど大規模な抗議活動が前回起きたのは1年以上前10月5日、イラクでこれほど大規模な抗議活動が前回起きたのは1年以上前。10月4日、バグダッドで撮影(2019年 ロイター/Alaa al-Marjani)

 しかし各種インフラは老朽化、劣化が進み、戦争で被害を受けた都市はまだ復興しておらず、まだ街頭で武器を行使する武装グループが存在する。

 汚職の風習はサダム・フセイン時代以来根強く、同時代が終わった後に登場してきたさまざまなイスラム教政党によって一層強固になった。

今回のデモのきっかけと組織者は

 このデモは、誰か特定の政治グループが組織したようには見えない。抗議を呼び掛けるソーシャルメディアの投稿がどんどん増加し、実際の参加者は治安部隊が驚くほどの多さになった。

 不十分な行政サービスや働き口がないことが、国民が怒っている主な理由だ。政府の一連の措置、特に人気のあった有力軍人を明確な説明もなく降格させたことにも抗議の声が上がっている。

イラクで大規模デモは久しぶりか

 昨年9月、主に南部の都市バスラで大きなデモが起きて30人近くが死亡した。それ以降は散発的なデモが発生しているものの、今回のような規模にはならなかった。昨年10月にアデル・アブドルマハディ氏が首相に就任してからは、初めての大規模となった。

デモが拡大する可能性や付随するリスクは

 政府と治安当局の対応次第で状況は変わってくる。5日時点で80人を超えている死亡者がさらに増えれば、国民の怒りが高まるだろう。一方で強力な鎮圧活動が、人々をおびえさせてデモ参加者が減る可能性もある。

 多くの国民は、昨年9月のバスラのデモで暴力的な取り締まりが行われた背後にはイランが支持する武装民兵グループがいたと信じている。それ以降、デモ参加者は少数にとどまっていた。

 民族主義や地域の分離独立などを掲げる武装グループがデモに関与してくれば、事態が悪化しかねない。