国家という最大の
指揮官による統率を

 先述のような対応を、多少のやり方は違えどJR・私鉄各社が行なっており、刻一刻と変わる状況をみながら最善の判断を下す取り組みが行われている。

 しかし、各社がてんでばらばらな計画運休開始・運転再開の案内を行うことが、果たして利用客にとって最大の利便となっているのだろうか?

 国土交通省は今年7月、「計画運休・運転再開時における情報提供タイムラインのモデルケース」を発表。若干の時間の前後と情報量の誤差はあるものの、48時間前の「計画運休可能性の発表」と24時間前の「詳細な情報提供」というタイムラインに沿うことが望ましいと発表された。そもそもこの時間軸自体が適切なのかどうかという意見もあるが、鉄道会社の運用・台風進路の確定と乗客の利便に鑑みれば、ボーダーラインともいえる設定だろう。

 都市における鉄道の役割は、社会的インフラとしての側面が強いのはいうまでもない。各社は株式会社ではあるものの、公共性が非常に高く、都市間ネットワーク機能や都市機能そのものを担う鉄道において、異常時の交通マネジメントを一企業の判断のみに任せること、しかも各社ごとに別々の基準で動くというのは、混乱を招く。ただでさえ混乱しやすい自然災害時の状況下で、刻一刻と変化する各社の運行を、利用者がリアルタイムで把握することは至難の技だ。

 平常時のやりくりや、日常的に発生する事故等の異常時対応程度であれば、各社の判断で動く方が手っ取り早いだろう。しかし、社会生活を揺るがすような災害発生時の対応は企業の判断のみに任せるのではなく、国家という最大の権限を使うこと、つまりは統一の運休・再開のための明確な基準を国レベルで決め、各事業者がそれに従って動くという方法を検討してもいいのではないだろうか。

 利用者の側も、その方が各勤務先・学校等の時間の目安がつけやすく、その後の生活もスムーズに回すことができるはずだ。

 鉄道システムというのは元来、指示系統の下でこそ成り立つ仕組みである。日本は災害大国といわれて久しいが、そんな異常時こそ、社会全体を束ねる災害に対する法律が必要となり、そのルールを使いこなす、国家という優秀な指揮官が必要となるだろう。

 もちろん、法律の整備などはそう簡単にできるものではない。計画運転の認識度が少しずつ上昇していく中で、こうした議論も進んでいけばいいと思っている。現時点で言えることは、自然という予測できない脅威に対して、鉄道各社・乗客ともできる限りの予防と余裕を持って再開に臨むべきだということだ。