「フラッシュクラッシュ」含めても値幅は8円

 今年のドル/円の高値は4月につけた112.40円。安値は1月3日に日本勢不在の中で瞬間的につけた104.10円だ。値幅は8.30円。変動相場制移行後に初めて年間値幅が10円を割り込んだ昨年を、現時点ではさらに下回っている。

 1月3日や8月26日など、ドルが安値を更新した際でさえ、自動売買システムが介在していたことが多く、実際の取引高は少なかった。特に正月休みだった1月3日は、短時間で5円近い値動きとなったものの、市場筋によると、下落・反発局面で成立した取引高は10億ドルにも満たなかったという。

 取引がほとんど成立せず、気配値だけが大きく振れた日を含めても値幅が8円強。「実質的には105─110円プラス誤差、の上下5円ぐらい」(都銀)というのが市場参加者の実感だ。

アベノミクスへの失望

 ドル/円が動かなくなった一因は、海外投資家の「アベノミクス」に対する期待感の後退にあるとみられている。

 2013年、日銀の大規模緩和と巨額財政出動、海外投資の活発化といったアベノミクス効果で、ドル/円は年始の安値86円から年末高値の105円まで20円弱急騰。取引量も10年対比で72%増とほぼ倍増した。対ドル以外も含む円の取引シェアは23%まで拡大。10年調査ではシェア39%と20%ポイントあった2位ユーロとの差を、一気に10%ポイントまで詰めた。

 しかし、景気回復は他国に比べ遅く、物価も2%の目標に到達していない状況が続く。当初は日本の大変革に期待した海外勢の期待も薄れ、ドル/円は16年6月に一時100円を割り込んだ。その後は、年を追うごとにレンジは小さくなっている。

「期待した成長戦略は一向に進まず、失望をあらわにする海外投資家も少なくない」(外資系証券)という。アベノミクス以降の海外勢の日本株累計買い越し額(現物と先物の合計)もぼぼ消滅。円売りと日本株買いを組み合わせた「ダブル・デッカー(二階建て)取引」はすっかり鳴りを潜めている。