関東での濃口醤油の発明により、「江戸前の四天王」と呼ばれる鰻・天麩羅・蕎麦・鮨の屋台文化が誕生しました。

 これらの中でもいち早く屋台から料理屋に格上げされたのは鰻です。

 料理屋では、注文を聞いてから鰻を開き始めるため、蒲焼が出てくるまでに40分以上はかかります。

 この待ち時間を利用して、鰻屋の二階屋や離れは、逢い引きに使われたとか。

 現在の価格で、蒲焼が一人前8000円もする店があったのは、おそらく個室料金だったのではないでしょうか(笑)。

鰻田楽
【材料】鰻の白焼き…1/2枚/田楽味噌…大さじ1/山椒…少々/芥子の実…少々
【作り方】 ①鰻の白焼きは4cm幅に切り、串を打つ。②1に田楽味噌を塗り、山椒、芥子の実などをかけて焼く。

 ちなみに「うな丼(うな重)」は、芝居のスポンサーの大久保今助《いますけ》が、芝居見物中に出前で取る蒲焼が、冷めないようにおからに埋めて届けられていたのが気に入らず、「これでは味が落ちる」とご飯に埋めるよう指示したところ、ご飯にも味が染みて、別々に食べるよりおいしいと大喜び。

 これが評判になって、以降、この食べ方が定着したというもの。

 サンドイッチ伯爵が、ポーカーをやりながら食事ができるようにとサンドイッチを発明した逸話と、どこか似ています。

 この話にも別の説があって、四谷伝馬町の三河屋にいた料理人が、独立して噴屋町に店を持ち、丼飯の間に蒲焼を挟んで売り出したところ大繁盛したそうです。

 一杯六十四文(現在の価格でおよそ1600円)という記述もありますから、信憑性は高いように思います。