ベストな配置が見つからず悩んだ末、「いっそのこと、リーダーを置かずに、それぞれの意思決定は、テーマごとに得意な社員に任せる体制はどうか?」という案が出た。これが、フラット型組織のアイデアの始まりだった。

全社員会議でみっちり議論

「フラット型組織のアイデアが出たところで、『フラットな組織にするかどうか決める過程は、フラットでないと意味がない』と判断し、当時いた社員30人全員で話し合いをしました。どういう体制が今のOKANに合うのか、じっくりディスカッションする場を作ったんです」(沢木氏)

 もっとも、全社員で議論をするのにも、工夫が必要だった。普通に議論しても、役職が高い者や、立場がある者の声が大きくなってしまうからだ。そこで、全員が均等に意見を出し合える方法をとった。

 まず、現状の課題と解決の順序を決め、課題ごとに小グループに分ける。次に、各グループごとに立候補制で意思決定者を募り、意思決定者を中心に議論をしていく。そして最後に、同じく立候補制で募った最終的な意思決定者が結論を下すという流れだ。意思決定者は役職や立場とは関係なく、新入社員が立候補することもあった。意見が異なる場合には、納得がいくまで議論をした。

ピラミッド型組織は、あえて「崩壊」させた方がいい理由『あなたのチームは、機能していますか?』(パトリック・レンシオーニ著、翔泳社)

 幸い、OKANには元々、“健全な衝突”を奨励する文化がある。“健全な衝突”とは、OKAN社員が必ず読んでいる著書『あなたのチームは、機能していますか?』(パトリック・レンシオーニ著、翔泳社)に書いてある言葉で、対立や衝突、葛藤をチャンスととらえ、組織活性化に役立てる考え方だ。「この考え方が根付いていたおかげで、議論は活発に進んだ」と沢木氏は話す。

「立場や役割によって感じていることは違うので、私が特定の人と話をして決めたり、根回しや伝聞が起こったりしてしまうと、本当の意味での意見の吸い上げはできない。誰しもが意見を言うことができ、決定を下せる立場になることで、全社員がコミットし、納得のいく決断ができたのだと思います」(沢木氏)

 こうして、1ヵ月間みっちりと議論した結果、ピラミッド型の組織を崩壊させる決定を下した。役職は取っ払い、上下関係もなくなった。リーダーに報告して決定していた物事も、社員それぞれが決める形式となった。

「新しい組織が合わないと感じた社員は、すぐに辞めていきました。当然、役職や上下関係自体がなくなりますし、非常に大きな改革です。新陳代謝が起こるのは無理もないと思います」(沢木氏)

ティール組織化は“結果”に過ぎない

 2018年、フラットな組織作りの新しい教科書として『ティール組織』(フレデリック・ラルー著、英治出版)がベストセラーとなり、ピラミッド組織を壊すことはスタートアップに限らず、ひとつの流行になっているが、これまでの経緯で分かる通り、OKANの取り組みは決して『ティール組織』の考え方に“乗っかった”ものではない。社員全員で時間をかけて議論を重ね、納得して出した結果だったのだ。