日銀の黒田東彦総裁11月5日、日銀の黒田東彦総裁(写真)は、名古屋市内で記者会見し、マネタリーベースの伸びが若干鈍化しても緩和効果は弱まっていないと強調した。日銀本店で7月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[名古屋市 5日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は5日、名古屋市内で記者会見し、マネタリーベースの増加率が鈍化しても緩和効果は弱まっていないと強調した。

 足元でマネタリーベースの伸びは鈍化傾向にあり、市場では緩和効果が薄れてきているのではないかとの指摘が出ている。これについて黒田総裁は「緩和効果は(短期)政策金利、10年債操作目標、資産買い入れプログラム、マネタリーベース増加の組み合わせの中で得られていて、緩和効果は減少していない」と指摘。「マネタリーベースの増加率が若干減ったからといって緩和の程度が弱まったとは思っていない」と語った。

 前回会合で修正した政策金利の先行き指針(フォワードガイダンス)で、長期金利の変動幅が下方に拡大することを容認しているのではないかとの見方があることに対しては「現在でも変わっていない」と否定した。

「10年国債の操作目標ゼロ%程度を変えることは金融政策としてあり得るが、それと政策金利のフォワードガイダンスは別の話だ」としている。

 黒田総裁は超長期ゾーンの金利について「あまり下がりすぎると、年金基金や生保の収益に影響が出て、それが消費者マインドに悪影響を及ぼす恐れがあるので、あまり下がりすぎないようにする必要がある」と述べ、「イールドカーブがあまりフラットにならないことが好ましい」との見解を繰り返した。

 超長期債の増発や50年債が発行されれば超長期金利の過度な低下を和らげる効果があるのではないかとの質問に対しては「超長期債の金利が過度に下がることを防ぐという点では意味があると思うが、国債の発行計画や投資家の行動次第であり、私からそれ以上のことを言うのは差し控えたい」と語った。

 ポリシーミックスに関しては「財政政策あるいは金融政策単独で行われる場合よりも、より効果が高まる」との認識を示したが、そのタイミングについては「財政が拡張した時に金融政策を一緒にやるという考えが特にあるわけではない」と述べた。

 市場の一部には、補正予算編成と同時に追加緩和に踏み切るのではないかとの観測も出ている。

 黒田総裁は、国債買い入れについて「あくまで日銀が金融政策運営の一環として必要に応じて市場から国債を購入しており、財政ファイナンスではない」と強調した。

 黒田総裁は午前のあいさつで海外経済の持ち直し時期について「これまでの想定より半年程度後ずれする」との見通しを示した。会見で具体的な時期を問われると「来年前半か半ば頃ではないか」と語った。

(志田義寧 編集:内田慎一)

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