自己紹介写真はイメージです Photo:PIXTA

レビュー

『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』書影『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』 横石 崇著 KADOKAWA刊 1650円(税込)

「自己紹介」のハウツー本かと思って手に取ると、良い意味で予想を裏切られるのが本書『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』だ。今の時代に必要とされる「自己紹介」とは何かを問い、自分の生き方について考えるよう、読者を駆り立てていくのだ。

 会社組織が疲弊している今、もはや「1つの企業、1つの人生」という時代は終わった。社会の変化のスピードは年々速くなっており、企業や職業の寿命が人の寿命よりも短くなっている。働く個人一人ひとりが自分のキャリアを考えなければならない。こうした社会では、コミュニティや業種、分野などを「越境」することが、新しい価値を創造するカギとなる。越境において重要なのは、人と人をつなぐツール、「自己紹介」だというのが著者の考えだ。

 著者は、自己紹介のあり方そのものを問い直し、時代に合わせたアップデートが必要だと呼びかける。バージョンアップした「自己紹介2.0」では、肩書きや経歴はさほど重要ではない。なぜなら肩書きや経歴は「過去」のものだからだ。それよりも、自分が提供できる価値である「未来」を語るほうが、相手からの信頼を得ることにつながる。

 自分がどんな目的意識のもとに、社会への貢献をめざしているのか? 「自己紹介2.0」では、こうした点まで自問し、自己の内面を深く掘り下げていくことが重要となる。その際、本書のワークシートが大いに役立つだろう。自己紹介をアップデートし、より豊かなつながりを育てたい方にうってつけの一冊だ。(池田明季哉)