電卓ゼロ手数料ゼロのインデックスファンドやETFが登場。増える「ゼロコスト」金融商品は本当におトクなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

米国で広がるゼロコスト運用
ただしフリーランチはない

 米国を中心にゼロコスト運用が拡大している。インデックス運用の世界では信託報酬率の引き下げ圧力が以前から顕在化していたが、2018年に米運用大手のフィデリティ・インベストメンツ社が、信託報酬0.0%のインデックスファンド・シリーズを設定したことで、金融商品は初めてゼロコストの世界に突入した。

 ゼロコスト運用の流れは他の金融商品にも波及しており、今年3月にソルト・フィナンシャル社、4月にはソーシャル・ファイナンス社が、期間限定ながらも経費率がゼロないしはマイナスという上場投資信託(ETF)を相次いで設定して話題となった。

 筆者は当初、こうしたゼロコスト運用の金融商品は、販売促進キャンペーンや他の商品との抱き合わせ販売のための方便に過ぎないと考えていた。だが、今年10月に英バークレイズ銀行が、金や銀の先物に連動するゼロコストの上場投資証券(ETN)を発行。日本でもSBIホールディングスが、10月30日の決算説明会にて、傘下の証券会社の株式売買手数料を今後3年間でゼロにする構想を打ち出したことで、認識を改めざるを得なくなった。資産運用に係るコストが(金利と同様に)限りなくゼロに向かって低下する潮流は、不可逆的になったように思われる。

 しかし、投資の世界にフリーランチなどない。運用コストが安く済む代わりに、どこかに思わぬ落とし穴がないかを確認する作業は、今まで以上に重要となるだろう。以下からは、筆者の運用経験も踏まえて、ゼロコスト商品を選定する際の留意点を考えてみたい。