グリーンラッシュがやってくる#3写真提供:ワンインチ

今年10月、CBDの名を冠して2度行われた大学教授のセミナーには計300人近い聴講者が集まった。会場に詰め掛けたのは、CBDビジネスを行っている事業者だけではなく、官僚、大手メーカーや総合商社の関係者の姿もあったようだ。日本にもグリーンラッシュの波は確実にやって来ている。特集「グリーンラッシュがやってくる」(全4回)の第3回では、日本におけるCBDビジネスの現状をお伝えする。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

総合商社も化粧品メーカーも講演に殺到
大麻ビジネスに熱視線

セミナー写真提供:日本化粧品協会

 10月6日、東京都品川区の昭和大学薬学部。休日にもかかわらず、大教室は約180人のビジネスパーソンであふれ返っていた。開かれていたのは、「CBD(カンナビジオール)の現在と未来」と題されたセミナーである。

 日本のCBD研究の第一人者である昭和大学薬学部の佐藤均教授が発起人の一人となって開かれたこのセミナーには、イスラエルの医療大麻の権威であるマイケル・ドール医師などが登壇。最新のCBD抽出方法やCBDを巡る日本の現状などが語られた。

 セミナーに集まったのは大学の研究者だけではない。厚生労働省の官僚のほか、大手総合商社社員、医薬品や食品、化粧品メーカーなどの製品開発に関わる研究者たちも真剣な面持ちで講演に聞き入っていた。

 グリーンラッシュが後押しし、海外で盛り上がりを見せる大麻の研究。一方で、日本で最新の研究事情に接する機会は減っている。その上、自ら研究したくても、国内では法的に困難な現状が待ち受ける。

 インターネットでCBDという言葉を検索すると、誤った情報が数多くある。どの情報が正しいかすら判別できない状況だ。

 CBDが、マリフアナなどの嗜好用大麻や医療用大麻に含まれ、“ハイになる”違法な成分THC(テトラヒドロカンナビノール)と混同されやすいことも、日本で開発が進まない原因だ。

 CBDの産業への応用は、日本ではまだ黎明期だ。大手企業は、CBDが巨大なビジネスに化ける可能性を秘めていることは理解しており、恐る恐るその入り口を探しているというわけである。