本格的な自動運転時代が2020年にも始まるが、ルール作りや社会的コンセンサスが追い付いていない部分が少なくない。特集「トヨタ、ホンダ、日産 自動車の最終決断」(全9回)の番外編として自動運転時代の課題や考え方について、明治大学自動運転社会総合研究所やモビリティ企業への取材を基にレポートする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
緊急時のハンドル操作を
予めプログラムできるのか
政府のロードマップ上では、2020年にも本格的な自動運転(レベル3〈条件付運転自動化〉以上)時代に突入することになっている。
交通業界にとって天変地異なのは、操縦の主体がドライバー(人)からシステムに置き換わることだ。人は運転から解放されて車内で自由な時間を持てる。安全性も人の運転より高まるとされている。一方で法律面、倫理面の課題も見えてきた。
学者らの間で話題沸騰中なのが、倫理上の思考実験「トロッコ(トロリー)問題」だ。究極的な人命選択の運転場面を想定し、「あらかじめシステムに対してどのような選択基準をプログラムすればよいのか」、という問題だ。