ECBラガルド新総裁Photo:picture alliance/gettyimages

ECB内の意見対立
投票制移行などの議論に

 欧州中央銀行(ECB)に参加する主要な域内中央銀行(NCB)の間での意見対立がなかなか収束しないようだ。

 発端は、マイナス金利の深掘りや11月からの月額200億ユーロの債券買い入れ再開を決めた9月の政策決定にあった。

 なかでも量的緩和再開に関しては、独仏など主要国の間で慎重論が根強かったにもかかわらず、ドラギ前総裁が政策理事会で「明確な多数」の支持を頼って決定を強行したことが反感を招いたわけだ。

 9月の政策理事会での決定後も、ワイトマン独連銀総裁やビルワドガロー仏中銀総裁らから慎重論“が続出した。効果への疑念のほか、国債の買い取りは、ECBの出資割合に応じて買い取り量が決まるため、均衡財政を重視する独などは持続性に難点があるといった事情があるからだ。

 だが10月末にラガルド新総裁が就任し、資産買い取りが11月から実施に移される中で、意見対立の焦点は政策判断の妥当性から、政策決定の枠組み自体へ移行しているようだ。