トランプ大統領
11月19日、トランプ米大統領(写真)は競合国に対する一連の関税発動で世界貿易の秩序を一変させた。写真はワシントンで15日撮影(2019年 ロイター/Tom Brenner)

[ジュネーブ 18日 ロイター] - トランプ米大統領は競合国に対する一連の関税発動で世界貿易の秩序を一変させた。そして今、米国の強硬政策によって、世界貿易機関(WTO)の紛争処理制度が機能不全に陥る危機が迫っている。世界は自由貿易の後ろ盾である多国間主義の枠組みから「弱肉強食」の時代に逆戻りしかねない状況だ。

 トランプ政権は2年前からWTO紛争処理制度における最終審である上級委員会の欠員補充を阻止してきた。これにより、委員の数は7人から3人に減少し、上級委員会が機能するために必要な最少人数ぎりぎりを保ってきた。しかし、12月10日にこのうち2人が任期満了を迎えるため、実質的に機能が停止する。

 一方、米国は強硬姿勢を一段と強め、WTOの予算にも疑問を呈する構えだ。通商関係者はロイターに対し、WTOへの最大の資金拠出国である米国が、WTOの予算確保を阻止し、紛争処理機能の停止を早めるリスクが高まっていると語った。

 米通商代表部(USTR)はWTOの予算についての問い合わせに応じていない。

 米国は、上級委員会が頻繁に90日の審査期限を超えて判断を示したり、WTO加盟国が与えた権限を超えて新しいルールをつくっているとして不満を示してきた。