香港の司法制度が目的通りに機能するのを中国当局が許さないのであれば、世界的なビジネス・金融の拠点という香港のステータスは危うくなる。香港の不動産市場や金融システムはこれまで、デモに伴う混乱を比較的うまくしのいできた。背景には、香港の司法制度に関しては「一国二制度」の原則が適用されるとの確信がビジネス界に浸透していたことがある。特に、法の支配や個人の権利を保障する独立した司法制度が存在するとの信頼があった。香港高等法院(高裁に相当)は18日、物議を醸している「覆面禁止法」は違憲との判断を下し、司法の独立性を証明した。公共の場での集まりに覆面着用を禁止する同規則は、激化の一途をたどっているデモを抑制することが狙いだ。警察当局は裁判所の判断を受けて、逮捕を停止すると明らかにした。しかし、中国国営の新華社は翌19日朝、高等法院の判断は香港行政長官の権利を侵害しており、香港の法律の合憲性を判断できるのは全国人民代表大会(全人代、国会に相当)だけと主張する声明を伝えた。