橘玲の世界投資見聞録 2019年11月21日

長い歴史と伝統をもつイランを旅するなら5月に南部を中心に
8泊9日の日程がお勧め。ただしお酒もSNSもクレジットカードもNG
【橘玲の世界投資見聞録】

 11月はじめに6泊7日の日程でイランを旅してきた。その話を書こうと思ったら、11月15日のガソリンの大幅値上げに抗議してテヘランなどで大規模なデモが起こり、100人超の死者が出ているとの報道もある。

 そんなときに旅の感想など書いてどうするのかと思われるかもしれないが、長い歴史と伝統をもち、魅力的でかつ、さまざまなことを考えさせられるこの国の旅について、忘れないうちに気づいたことをまとめておきたい。今回の騒動が収まってからイラン旅行を考えているひとにも役に立つだろう。

ステンドグラスが美しいマスジェデ・ナスィーロル・モスク(シラーズ) (Photo:ⒸAlt Invest Com)   

 

イランは5月に古代ペルシア時代の遺跡や
サファヴィー朝最盛期の建築群が残る南部を訪れるのがお勧め

 イランは日本の4.5倍の面積がある大きな国だが、観光地は古代ペルシア時代の遺跡やサファヴィー朝最盛期の建築群が残る南部に集中している。乾燥していて昼と夜の寒暖の差は大きいものの、11月でも日中は軽装でじゅうぶんだった。

 イラン南部の夏はかなり暑く、旅行に最適なのは春と秋。今回の旅行も毎日快晴だったので10~11月もお勧めだが、イスラーム時代の美しい庭園を楽しむのならバラの咲きほこる5月がいいという。

 イスラーム圏の旅行で注意しなければならないのがラマダン(断食)。この時期はほとんどの飲食店が日中は店を閉め、外国人や旅行者のために開けている店でも、飲食している姿が外から見えないように黒い布で窓をかんぜんに覆ってしまう。これでは地元で人気のレストランに行くこともできず、旅の楽しさが半減してしまうので、事前にその年のラマダン期間を確認したうえで、その時期を外したほうがいいだろう。

 かくいう私も10連休を利用して5月初旬にイランに行こうと考え、ドバイまでの便を押さえてからラマダン(2019年は5月5日~6月3日)と重なることに気づいて、エチオピアとルワンダに目的地を変えた。

ラマダンではこのようなレストランで食事をすることはできない(アフヴァーズ)  (Photo:ⒸAlt Invest Com)

 

 イランは「イスラーム共和国」で、服装に関してもクルアーン(コーラン)の教えに則っていることが求められる。

 男性の場合はそれでも、ショートパンツ(短パン)を避ければいいくらいで、さしたる不都合はない。ガイドブックには長袖シャツを着用するようアドバイスするものもあるが、若者はごくふつうにTシャツを着ているから、襟のあるポロシャツや半袖シャツなら問題ない。

 女性は外国人でも、外出の際はかならずヒジャブ(ヴェール)を着用しなければならず、なおかつヒップから太ももにかけてのラインを見せてはならない。

 ヒジャブはもともと髪を隠すためのものだが、都市部では世俗化が進んでいて、若い女性では頭の後ろでピン止めしただけのスタイルもよく見かける(正面からだと、ヒジャブをしているかどうかわからない)。外国人女性も、スカーフで髪の毛を隠すくらいでじゅうぶんだろう。

 ヒジャブよりもタブーがきついのが肌の露出とヒップのラインで、お洒落な若い女性たちも必ず長袖のシャツとジーンズ(スボン)姿で、長めのコートを羽織っていた。旅行中、半袖やスカート姿の女性はいちども見なかった。コートではなく丈の長いカーデガンでも構わないが、いずれにしても真夏にこの姿で灼熱の遺跡を歩くのは大変なので、女性は暑い時期の旅行は考えた方がいいかもしれない。

 ガイドブックでは、足首から下の肌の露出を避けるために靴下とスニーカーを勧めるものもあるが、ヨーロッパからの旅行者(フランスとイタリアが多い)は素足にサンダル姿もたくさんいた。ひと目で外国人とわかるのでうるさいことはいわれないと思うが、宗教施設を訪れるときは靴下を着用したほうがいいだろう。

自撮りをする女子大生たち。左の女性の鼻が白くなっているのはプチ整形(エスファハーン)   (Photo:ⒸAlt Invest Com)

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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