橘玲の世界投資見聞録 2019年11月21日

長い歴史と伝統をもつイランを旅するなら5月に南部を中心に
8泊9日の日程がお勧め。ただしお酒もSNSもクレジットカードもNG
【橘玲の世界投資見聞録】

イラン観光の目玉はペルセポリスのあるシーラーズと
サファヴィー朝のアッバース大帝が建都したエスファハーン

 イラン観光の目玉はペルセポリスのあるシーラーズと、サファヴィー朝のアッバース大帝が建都したエスファハーンで、これにイラクとの国境に近いアフヴァーズ(紀元前13世紀のピラミッド、チョガー・ザンビルがある)とヤズド(ソロアスター教の聖地)を加えた代表的な観光地4カ所が南部に点在している。都市から都市への移動は車で5~6時間なので、それぞれ2泊するとシーラーズとエスファハーンで4泊5日、これにアフヴァーズかヤズドのいずれかを加えて6泊7日、すべて回って8泊9日が典型的な旅程になる。

ペルセポリス       (Photo:ⒸAlt Invest Com)

 

 それ以外の観光地はカスピ海に近い北西部のタブリーズと、北東部にあるシーア派の聖地マシュハドで、イラン周遊でも2週間あれば足りるだろう。イランの国内便は、経済制裁のため機材の部品の調達に支障があり、頻繁に遅れるといわれるが、幸いなことに私が乗ったテヘラン―アフヴァーズ便は定刻に出発した。

 「地球の歩き方」シリーズから『イラン ペルシアの旅』が出ているように、その気になればイランを個人旅行することは可能だ。ただし、Expediaのような旅行サイトでホテルを予約することはできないので、電話をするかメールを送って空き状況を確認しなくてはならない。国内の移動は、飛行機であればイラン航空の支店が日本にあるのでそこで予約できそうだが(やったわけではない)、列車や長距離バスは現地の窓口でチケットを購入するしかないだろう。

 ホテルや土産物店ではある程度英語を話すが、街中では英語表示はなく、英語もほとんど通じないので、ペルシア語を話せるか、すくなくともペルシア文字(アラビア文字とほぼ同じ)が読めないと、独力で旅するのは難しいのではないだろうか。

 ということで私も、ホームページで見つけたイランの旅行会社に頼んで個人ツアーをアレンジしてもらった。驚いたことに、ツアー料金の支払いは日本国内の代理人(個人口座)に日本円で送金すればいいだけだった。

 私を案内してくれたのは50代半ばの男性で、80年代末から90年代半ばまで日本に出稼ぎに来ていたという。中東研究家の岩永尚子さんが書いているように、イラン・イラク戦争後の窮乏期に、イラン人が唯一ビザなしで行けた先進国が日本だったからだ。

[参考記事]
●教えて! 尚子先生 なぜ今、イランとサウジアラビアは対立しているのでしょうか?<前編>

 こうした「日本出稼ぎ組」がイランに戻って、そのなかに日本人相手の観光ガイドになったひともいたようだ。私のガイドもいろいろ興味深い話を教えてくれたが、本人が特定できる記述をしていいかどうかわからないので、今後、細部を多少脚色して紹介していきたい。

 バブル最盛期に20代で日本に出稼ぎにきたイランの若者たちは、工事現場やクリーニング店などで過酷な肉体労働に従事したものの、そこで得た外貨をイランに送金することでかなりの資産をつくることができた。そんな「親日世代」も徐々に引退の時期を迎えているので、彼らといっしょにイランを回りたいのならすこし急いだほうがいいかもしれない。

 半鎖国状態にあるイランでは外国人旅行者そのものが珍しいようで、英語を勉強している高校生の女の子から声をかけられることがある(といっても家族がいっしょだ)。私も2回、いっしょに記念写真を撮った。かつて日本の中高生は、京都に修学旅行に行くと欧米人の観光客に英語で話しかけようとしたが、そんな感じなのだろうか。

 いまはデモで騒然としているが、治安はきわめてよく、ひとびとはみな親切で、外国人だからといって執拗な営業をされることもなかった。この魅力的な国が、もっと気軽に旅行できるようになればいいのに、と思う。

夜のエマーム広場(エスファハーン)   (Photo:ⒸAlt Invest Com)

 

 

橘 玲(たちばな あきら)

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 作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)、『もっと言ってはいけない』(新潮新書) など。最新刊は『上級国民/下級国民』(小学館新書)。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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