歯周病Photo:PIXTA

 食事で歯周病が予防できればこんなにいいことはありません。手軽に食べることができて、歯周病になりにくい、そんな食材はあるのでしょうか?『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか? 聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中の歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。

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「これを食べれば」という食材は残念ながら存在しませんが、「これをやめれば歯周病になりにくい」という食材はあります。それはズバリ、「砂糖(ショ糖)」です。「砂糖がむし歯によくないというのは聞くけれど、歯周病には関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、実は大いに関係があるのです。

 歯周病やむし歯の大きな原因となるのはプラーク(歯垢<しこう>)です。プラークのもととなるのは、グルカンというノリのようにべたべたとした物質。口の中のむし歯菌が食べ物や飲み物に含まれる砂糖を栄養にして増殖する際に、菌の周囲にこのグルカンを放出するのです(同時に出す乳酸という酸が歯を溶かし、むし歯をつくります)。

 グルカンはべたべたとしているため、歯に付着するとむし歯菌に限らず、さまざまな細菌が集まってきます。獲物をつかまえる「とりもち」のようなイメージです。

 歯周病菌も例外ではなく、このグルカンに取り込まれ、増殖をするのです。そしてできあがった歯周病菌の集合体は歯ぐきや歯ぐきの奥に入り、歯周組織を壊していきます。

 ちなみに同じ糖類でも炭水化物に多く含まれるブドウ糖、果物に多く含まれる果糖もむし歯菌のエサにはなりますが、砂糖のようにグルカンの発生源にはなりません。

 砂糖は免疫力という観点からも、歯周病の人には控えたい食材です。歯周病は歯周病菌のほかに生活習慣の乱れ、免疫力の低下などが複雑にからみあって発症することがわかっています。仕事が忙しかったり、睡眠不足が続いたりしたときに歯周病が悪化しやすくなるのはこのためです。

 そして実は砂糖を食べ過ぎると免疫力が低下する可能性があることが指摘されているのです。