過去4回にわたり公的年金と企業年金について話をしましたが、今回からは視点を変え、オヤジ世代の老後の働き方について考えていきます。今回は、老後の働き方について全体的な考えを示し、次回以降は、老後も働くことの具体的な効果や、資産運用への影響等に触れていく予定です。

もはや「余生」ではない

 当連載の第2回で述べたように、オヤジ世代にとって人生が90年以上続くことが珍しくない今、かつては「余生」と言われた老後の生き方が改めて問われています。例えば、国民年金がスタートした昭和36年(1961年)は65歳男性の平均余命は11.88年と10年強でしたので、65歳以降の人生は勤労世代の約40年の人生に比べると、まさに「残りの人生」と言えました。当時はわずかな余生を「穏やかにのんびり過ごす」というライフ・スタイルが一般的だったようです。

 それから50年後の現在、平成22年(2010年)の簡易生命表によると、65歳男性の平均余命は18.86年と大幅に延びており、しかも、オヤジ世代が定年を迎える頃の2025年にはさらに1年以上も長い20.29年になると予想されています。つまり、オヤジ世代の65歳からの人生が昔の人より10年近く長くなり、平均で85歳超まで20年以上生きるということです。もちろん、これは平均ですから半分以上の人はこれより長く生きることになりますし、90歳超の人も少なからずいるため、今や老後の期間は決して短くはなく、もはや「余生」とは言えなくなりました。

「第二の人生」について

 しかし、第1回で触れたように、PPK(ピンピンコロリ)となるのはごく一部で、日常生活に支障をきたす健康上の問題がない「無障害平均余命」は65歳男性の場合、平成16年(2004年)時点で12.64年であり、元気に生活できるのは77.64歳までということです。ただ、これも徐々に改善しており、皆さんが65歳になる頃には80歳くらいまでは平均的に無障害で頑張れる時代になるでしょう。