スリランカPhoto:PIXTA

内戦終結後、急接近した中国の支援で高い経済成長続ける

 南アジアのスリランカでは、今月16日に5年に一度の大統領選挙が実施された。同国では1980年代から約30年にわたる内戦が続いてきた。2005年の大統領選を経て誕生したマヒンダ・ラジャパクサ政権は、中国やスリランカなどによる大規模な軍事支援を得た。その結果、09年に内戦は終結を迎えた。

 他方、内戦終結に向けた武力鎮圧を巡って、反政府勢力を構成したタミル人の大量虐殺など人権侵害が行われたとの疑惑が高まった。西側諸国が同国に距離を置いた結果、中国が同国に急接近する事態を招いたとされる。

 ラジャパクサ政権は15年初めまで約9年に及んだ。同政権による中国への接近などを背景に、その後の海外からの投資実行額は右肩上がりで拡大傾向を強めてきた。結果、同政権の間は世界金融危機の影響などにより経済成長率が鈍化はしたが、年平均で6%を上回るなど比較的高い経済成長を実現した。

 しかし、同政権による政策運営を巡ってラジャパクサ氏の側近として首相を務めたマイトリパラ・シリセナ氏が離反するとともに、15年の大統領選でラジャパクサ氏を破って大統領に就任した。このように、政治的には紆余曲折があった。