年末商戦に「死角なし」でも、米国の個人消費が危ぶまれる理由ブラックフライデーからクリスマスへと続く、米国の年末商戦。今年の米国個人消費は絶好調のように見える(写真はイメージです) Photo:PIXTA

米クリスマス商戦スタート
個人消費に死角はない

 11月第4木曜日のサンクスギビングデー(感謝祭)の翌日は、米国ではクリスマス商戦の号砲を告げるブラックフライデーとして注目される。近年は米国でも、10月から様々な名称のセールが打たれるなど商戦開始の前倒しが進み、ブラックフライデーは象徴的な呼称にすぎないかもしれない。それでも米国の消費の動向、ひいては米国経済全体の動向を探るうえで、ブラックフライデー、およびその次の月曜日のサイバーマンデー(オンラインショップのクリスマス商戦の開始日)は重要なポイントである。今年のブラックフライデーは11月29日、サイバーマンデーは12月2日で、クリスマスまでの長い商戦の火蓋がまさに今切られようとしている。

 足元の米国の個人消費は、水準としては非常に良好だ。消費を探るうえで最も重要な要素は雇用・所得環境だが、失業率は3%台半ばと半世紀ぶりの低水準。実質賃金は前年対比1%強の伸びで増加傾向にあり、申し分ない環境にある。

 賃金を財布の中身とみるならば、財布のひもに当たるのが消費者の景況感だ。こちらも好調で、消費者信頼感指数は過去50年間で最も高いレベルでの推移が続いている。高い景況感を支えているのは、雇用・所得環境に対する満足度と、株高などによる資産効果だ。

 財布の中身に当たる実質賃金が順調に伸びている一方、高い景況感が財布のひもを緩めていることから、米国の個人消費に死角はないということもできる。