中国は「世界へのショーケース」

 今回、エアロネクストは南方科技大学のロボティクス研究院と共同で研究開発ラボ “SUSTECH(SIR)-AERONEXT Flying Robots Technology Shenzhen Lab”を設立。産学連携の拠点として、ドローンの社会実装に向けて活動していく。南方科技大学は約1000人の教授、本科生が約5300人、研究生が約1300人も所属する巨大な大学で、「中国のシリコンバレー」といわれる深センに多数の人材を輩出している。

 エアロネクストでは、以前から中国進出を精力的に進めてきた。深センの国際ピッチ大会「Nanshan “Entrepreneurship Star” Contest 2018」に日本代表として出場し、3位入賞、知的財産賞を果たし、5月に現地法人を設立。また、中国産業ドローンメーカー大手の深セン市科比特航空科技有限公司(MMC)との戦略的提携を発表している。南方科技大学との提携は、同社の技術力に加えてこうした中国での活動があったから実現したものだ。

 では、なぜここまで中国進出に意欲的なのか。簡潔に言えば、エアロネクストのIPを効率的に普及させるための戦略だ。

「いま私たちにとって最も必要なのは、『エアロネクストでなければ実現しえなかった』と評価されるようなユースケースです。巨大なドローン市場を持つ中国で通用すれば、一気に世界でも評価されるはず。中国市場を取るためというより、世界へのショーケースとして中国を狙っているといったほうがいいかもしれません」

「また、中国は日本に比べて社会実装のスピードが圧倒的に速い。エンジニアがどんどん新しいことを試して、失敗したら修正してまた挑戦するというサイクルが確立している。こうした土壌と南方科技大学の協力があれば、きっと早いうちに大きなインパクトのある発表ができるはず」(田路氏)

あらゆる機体に標準搭載される、インテルのような存在に

 これからの目標として、「なるべく早くに製品化を実現し、大きな発表をお届けしたい。現状で一番期待しているのは、風の影響を受けやすく、機体が入りづらい場所も多い橋梁の点検ですね」と意気込む田路氏。

 彼は、ドローンがまるで鳥のように飛び回っているのが当たり前な社会が到来すると予想している。その時、エアロネクストはドローンを販売するメーカーではなく、あらゆるドローンのハードウェアの標準的なプラットフォームを担う存在を目指すという。

「自動車のようにドローンが普及すれば、シェアリングや公共交通などの形で所有とは違った形態で使用されるはず。そうしたあらゆる機体に4D GRAVITYが標準搭載されるのが目標です。Intel(インテル)の半導体のように、人々が意識しなくても自然と移動手段として使う存在になっていたいですね」(田路氏)