死体遺棄の生活保護ケースワーカーを、同僚たちはなぜ擁護するのか今年6月、現職の生活保護ケースワーカーが死体遺棄の疑いで逮捕された。周囲からは擁護の声も聞こえる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

信頼厚い若手ケースワーカーが
被告席に座る不幸な成り行き

 今年6月、現職の生活保護ケースワーカーが死体遺棄の疑いで逮捕されるという衝撃的な出来事が報道され、話題となった。逮捕された京都府向日市職員のY氏(当時29歳)は、担当していた生活保護受給者の男性H氏(当時55歳)に、精神的に支配され服従させられていた。

 暴力的な言動が止まないH氏は、Y氏を“洗脳”に近い状態に置いていた様子である。ともあれY氏は、H氏が交際相手の女性を殴って死なせた後、死体遺棄に協力してしまい、共に逮捕されることとなった。

 Y氏に対する公判は、10月より京都地裁で行われている。12月中に結審し、年明けの2020年1月には判決が言い渡される見通しだ。

 向日市職員であり、市職員労働組合の執行委員長でもある岩谷誠司さんは、Y氏と同じ市民サービス部に所属している。障害者福祉に携わる岩谷さんが所属しているのは障がい者支援課、Y氏の所属する生活保護担当部署(福祉事務所)は地域福祉課という違いはあるが、同じ建物の中で様子を見ていた同僚の1人だ。

 岩谷さんが見ていたY氏の印象は、「目立つ人ではなく、どちらかというと地味」ということだ。

「口数の多い人ではありませんが、決められことを、決められたルールに則って、確実にこなしていくタイプです。上からも下からも、信頼が厚かったのではないかと思います。悪く言っている人はいませんでした」(岩谷さん)