人事大激変!第12回Photo:SCIEPRO/SCIENCE PHOTO LIBRARY/gettyimages

人事大激変!あなたの評価・給料が危ない」(全12回)の最終回では、人事の領域にテクノロジーが浸透することによって訪れつつある「人事部が要らない世界」をのぞいてみよう。そして、その一方で明らかになってきた、人事におけるテクノロジーに代替されない「人の役割」にも光を当てる。

「週刊ダイヤモンド」2019年5月11日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

人事部は要らない
だが、潤滑油は要る

 テクノロジーが、人事の合理化や効率化に大きく寄与することは紛れもない事実だ。いよいよ、HRテックの最前線は、さらに人知を超えた領域にまで踏み込みつつある。

 医療事務受託大手のソラストでは、離職防止のために人工知能(AI)を利用している。体力的にも精神的にもハードな医療事務の離職率は高く、採用難にも見舞われていた。そのため、ソラストでは、新入社員に対して、実に年7回もの面談を実施。社員の引き留めを図っていたが、その成果は芳しくなかった。

 事態を飛躍的に好転させたのが、FRONTEOが開発したAIエンジンの「KIBIT(キビット)」だ。キビットは文章解析が得意で、少ない学習データでも精度の高いスコアリング結果を導くことができる。

 ソラストの退職者が面談シートに書いた「100字程度の自由記述欄」300サンプルをキビットに読み込ませたところ、文章に退職者特有の“共通シグナル”が発信されていたことがあぶり出されてきた。

 この分析結果を受けて、現職スタッフの面談シートを読み込ませたところ、上司が面談するだけでは全く気付かなかった離職者候補が次々と現れた。