これまでも、即効性に乏しい対策を講じたり、規模の不十分な支援枠の設定をしたりしては、そのたびにギリシャ、スペイン、イタリアなど重債務国の国債は市場の売りにさらされた。売り込まれるとまた、その場しのぎの小手先の対策を講じる。今回もこうしたパターンの繰り返しに過ぎない。欧州の政策当局者は学習していない。

 多額の支援枠の設定など抜本的な措置を早期に実施していれば、これほどまでに欧州の財政危機がこじれることはなかっただろう。

 6月13日にスペイン国債を投機的階級の一歩手前のBaa3に格下げしたムーディーズは、9月中旬までにさらに格下げの方向で見直すとしている。つまり、投資不適格な格付けにする可能性を示唆している。投資不適格となれば、スペイン国債がさらに売り込まれる契機となりかねない。利回りが高くても国債を発行し、資金調達ができればスペインが救済を申請せずにすむ。とはいえ、現状よりさらに利回りが上昇するとなれば調達がさらに難しくなる。

 23日には南欧諸国への財政支援負担を理由に、ムーディーズはAaaのドイツ、オランダ、ルクセンブルグの国債格付けの見通しをネガティブ(引き下げ方向)とした。翌日にはEFSF(Aaa)の格付け見通しもネガティブとした。対策の出し惜しみのつけは、いよいよ中核国ドイツの格付けをも蝕みつつある。同じ轍を踏み続けてていては火の粉は大きくなるばかりである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)

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