イングランド銀行は、1)意思疎通(コミュニケーション)、2)会話(カンバセーション)、3)教育(エデュケーション)──の3つのルートによる家計への働きかけを強めており、視覚的にわかりやすい情報発信をしたり、「関係者がラジオ番組に出て、一般リスナーからの質問に答えたりしている」という。

 北野准教授は「こうした取り組みは非常に大事で、結局、金融の専門家ではない人が実際に行動してくれないと、物価安定の目標は達成できない」と指摘する。

 日銀も手をこまねているわけではない。日銀の業務などについて説明する出前講義を行ったり、SNS(交流サイト)を活用したりしているが、国民との直接対話という点では欧米に見劣りする。米国は「Fedリッスンズ」と呼ばれるイベントで国民との対話を続けている。

 井上氏は、日銀の政策委員が全国で実施している金融経済懇談会のあり方を見直すべきと提言している。「現在の懇談会の参加者は地銀の頭取や地元産業界のトップだが、主婦に参加してもらうとか、地元大学を訪れ学生と対話をするとか、地場の中小企業従業員と話をするとか、あり方を見直したほうがいい」。

 非伝統的な政策においては、国民の理解度が重要な鍵を握る。北野准教授は「インフォームド・ディシジョン、情報に基づき意思決定をしていくことの重要性をもう少しきちんと教えていかなければいけない」と、金融リテラシー教育の必要性も指摘した。

(志田義寧 編集:田中志保)

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