アメーバの性質を生かせば効率的な配送が実現する?

 今後、Amoeba GO-1のアップデートと並行して、青野氏は大学での演算処理技術の開発にも注力するという。実は、これはAmoeba GO-1とは違った形で将来の宅配にアプローチするものだ。

 彼が目指しているのは、「巡回セールスマン問題」の解決。これは「全ての都市を1度だけ訪問して戻ってくる巡回ルートのうち、移動距離が最小のものを探す」という組み合わせの最適化を求める問題で、都市の数が8の場合でも可能なルートの総数は、なんと2520通り。10都市なら10万通り以上、15都市なら400億通り以上のルートが存在し、30都市を巡る最適解は、現状のスーパーコンピュータでは億単位の年数がかかるため、実質解けないという。

 この解決に関係するのが、アメーバだ。アメーバには嫌いな光を避けつつ、体を最大化させようとする性質がある。この体の伸縮メカニズムを上手く取り入れれば「そこそこ効率の良い答え」を既存のスーパーコンピュータより早く導き出せるかもしれないという。これを来る自動運転時代の配送トラックなどのオペレーションに活用するのが、青野氏の狙いだ。

「大きな渋滞を起こさないために必要なのは、最短効率の正解ではありません。そこそこ効率の良い答えを素早く見つけるという、現代のコンピュータの欠点を補完する存在になれば」(青野氏)

 アメーバを活用した計算処理技術で配送トラックのコントロールを、Amoeba GO-1でラストワンマイルの配送を、と2つの側面から物流の課題にアプローチする青野氏。さらにその先に目指すのは、現代のコンピュータと全く異なる仕組みのコンピュータだ。

「プロセッサ(脳)で思考する現代のコンピュータのパラダイムでは、日本企業の市場競争力は落ちつつあります。しかし、中央を経由せずに外部環境から情報をその場で処理できるコンピュータを開発すれば、状況は一変するはず。新たな市場を開拓することで、コンピュータ市場を再び活気付けたいんです」(青野氏)