『魔王』ドラマ化決定、「闇の帝王」と呼ばれた主人公の“超絶”犯罪録Photo:PIXTA

天才プログラマーによる
数々の事件

『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』書影『魔王: 奸智と暴力のサイバー犯罪帝国を築いた男』 エヴァン ラトリフ著 竹田 円訳 早川書房刊 2970 円(税込)

 海賊が跋扈するため、ソマリア沖ではマグロ漁ができなくなっていた。そこで漁をすれば一網打尽、一攫千金だ。しかし、そのためにはロジスティクスも安全も確保しなければならない。巨額の資金による、飛行場付き、傭兵が警護する完全武装の漁業基地建設が始まった。

 全米で多くの医師や薬剤師がオンライン薬局での処方薬販売にかかわっていた。違法ぎりぎりの取引に気づいた麻薬捜査官による捜査が始まった。巧妙に操作されたインターネットサイトの裏側で、たったひとつの会社、RX社が巨額の取引を仕切っていた。

 腐乱死体を乗せた難破ヨットがトンガの環礁で見つかった。当局が捜査したところ、その船室の壁には末端価格は9000万ドル以上にもなるコカインの塊が隠されていた。

 フィリピンのゴミ捨て場で毛布にぐるぐる巻きにされた遺体が見つかった。不動産業者の女性、キャサリン・リー、43歳。死因は目の下に打ち込まれた二発の22口径の弾丸。恐怖心を煽りながらの殺害と断定された。