先の資産買い入れ再開の決定は理事会内に深い亀裂を生じさせたため、ラガルド氏は一体感を取り戻すよう迫られる可能性がある。

 3.金融政策レビューについて何か示唆するか

 ラガルド氏はECBの政策枠組みを見直すレビューに着手すると約束しており、物価目標の再設計など幅広い内容が含まれる見通しだ。アナリストは、早ければ1月にこの作業が始まると予想している。

 日程と見直しの範囲について質問が出そうだが、まだ詳細は示されないだろう。

 ECBは03年に行っていた前回の金融政策レビューで、物価目標の定義を「中期的に2%を下回るが、2%に近い」水準と明確化した。しかし現在はむしろインフレ率の低さが問題となっている。

 ラガルド氏は先週、レビューでは目標の定義を上下対称とすることで、インフレ率の上昇だけでなく低下にも対処できるようにすべきかを検討すると表明した。また、目標達成を厳密化せず「のりしろ」を持たせるか否かも検討課題だとしている。

 4.各国政府にどのように財政拡大を促すか

 ECBの金融政策は限界に近いとみられているため、ラガルド氏は各国政府に財政政策の拡大を促すことを強く求められそうだ。

 ラガルド氏は総裁として初めて行った政策演説で、成長促進とインフレ面で金融政策は自らの役割を果たすが、主な責任は他の政策当局にあり、より多く、賢明な投資と財政政策の有効活用が必要だと訴えた。

 フランス人のラガルド氏がドイツ語を習うと決めたことを挙げ、同氏が個人的な対話を通じて財政拡大に慎重なドイツの説得に乗り出す兆候ではないかとする見方もある。

 5.気候変動をどの程度重視するか

 ラガルド氏は気候変動との闘いをECBの「ミッション・クリティカル(重要な使命)」と表現し、政策レビューに盛り込む方針を示した。

 エコノミストによると環境はラガルド氏の任期8年を特色付ける課題になる可能性があるが、タフな物言いだけでなく実行もするには困難が伴う。

 欧州投資銀行(EIB)の最近の調査では、欧州市民の約半数が失業やテロ攻撃よりも気候変動の方が怖いとしている。

 ノルデア・アセット・マネジメントのセバスチャン・ゲリー氏は、新総裁は足跡を残すことを望むとみられ、その足跡は「緑色」になるだろうと話した。

 物言う投資家は、ECBが資産買い入れで環境関連資産に重点を置き、企業の環境技術投資を後押しするよう求めている。

 ただECBは、物価安定の責務を果たす上で市場中立性を守る必要があると主張しており、ラガルド氏もその前提を確認した。ドイツ連銀のワイトマン総裁など一部のECB理事会メンバーは、ECBは気候変動対策の最前線に立つべきではないと強調している。

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