家族を困らせない相続第11回Photo:thewet/gettyimages

相続税の申告と納付を行えば、相続手続きもいよいよフィナーレだ。しかしそこには落とし穴も。2020年1月5日(日)まで全18回でお届けする特集「家族を困らせない相続」の第11回は、相続税の申告・納付のしかたと落とし穴、そして、税務調査で狙われるケースを紹介する。(監修/弓家田良彦〈税理士法人弓家田・富山事務所代表社員〉)

「週刊ダイヤモンド」2019年8月10日・17日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数字など情報は雑誌掲載時のもの

膨大な書類作成と大変な手続きを
10カ月以内に行う

 特集第3回【相続に必要な手続き、「親の死から10カ月」でやるべき9のこと】で相続の全体スケジュールを伝えたように、相続において遺産分割協議が無事にまとまれば、いよいよ相続税の申告と納付だ。相続税を計算し、納付が必要な相続人は相続税を申告する。

 相続税の計算方法は非常に複雑なため、税理士などの専門家に依頼する方が安心だが、自分たちで行うことも可能だ。相続税の計算方法については、特集第12回【相続税の計算を自分でやるなら「6つの手順」と全体の流れを押さえる】(12月30日〈月〉配信)を参照してほしい。

 相続税の申告書は、相続開始の翌日から10カ月以内に提出しなければならない。提出が1日でも遅れた場合は、「無申告加算税」として、本来の税額の5%が加算される。さらに税務調査後の提出となると、20%も加算されてしまう。

 提出先は被相続人(財産を残す人)の住所地を所管する税務署だ。通常なら(もめていなければ)、相続人全員が一つの申告書に連署する。

 気を付けなければいけないのは、申告書と同様、相続税の納付期限も10カ月以内であること。申告書を提出して安心し、そのまま納税期限を過ぎると、最大で年利14.6%の利息を延滞税として支払わなければならない。