「どういうことなんだ!」

 岡の叱責は鋭かった。怒りの凄まじさに、壁際に置かれた花瓶の花まで震えそうだ。

「申し訳ありません」

 込み上げる怒りをこらえ、半沢は詫びた。電脳から戻って、半沢が真っ先にしたのは事の次第を岡に知らせることである。

「なんで先方とコンタクトを取らなかった。そうすればこんなことにはならなかっただろうが」

「こちらのスキームがまだ固まっていませんでした」

「そんなはずはない」

 岡は意外なことをいった。「プロジェクトチームで素案ができていたのに、君の指示でやり直しをさせていたそうじゃないか」

 岡の曲解に、半沢は驚いた。

「それは、最初の方向性では、とても平山社長は納得されないと思ったので」

「遅いよりマシだ」

 岡は半沢の反論をぴしゃりと撥ね付けた。

 いいたいことはある。

 しかし、それをいえば三木に責任をなすり付けることになりかねない。出来は悪くても三木は半沢の部下であり、平山との連絡を三木に任せきりにしていた責任もある。

「至りませんでした」

 詫びた半沢に、「よからぬことばかりだな、半沢」、と岡は容赦無く続けた。

「君、銀行でも問題を起こしてばかりだったそうじゃないか。君のせいで、当社は巨額の収益機会を失ったんだぞ。どう責任を取るつもりなんだ」

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