2020年の日本景気に囁かれる「不安材料」は本当か、いま一度検証する2020年の日本経済は厳しいとの見方が多いが、それは本当だろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 2020年の日本経済は厳しいとの見方が多い。確かに、消費増税、消費税対策の終了、さらには東京オリンピック後の反動など、不安材料には事欠かない。しかし2020年の日本景気は、意外と底堅いのではないか。

 消費税率を上げても物価が上がらない中で、個人消費の腰折れは回避される。もともと効果の乏しかった消費税対策が終了しても心配無用だ。東京オリンピックも半世紀前との経済規模の違いを考えれば、一部で懸念されているほどの影響はないだろう。米中対立が世界経済の重石になる構図に変わりはないが、日本の景気が2019年秋から後退を続けているとすると、そろそろ自律反転の芽が出てくる。2020年は景気が下げ止まり、持ち直しの年となりそうだ。

「戦後最長」ではない?
2019年は景気後退の年

 政府は、景気は緩やかに回復している、という判断を続けており、2012年11月から戦後最長の景気拡大が続いているという見方を変えていない。しかし、振り返ってみれば、2019年は景気後退の年となるだろう。

 景気動向指数(CI・一致系列)の機械的な基調判断は、景気後退を意味する「悪化」を続けている。政府は、輸出や生産だけでなく、個人消費や設備投資など内需の柱の堅調さを評価して、回復が続いているとしているが、これらの遅行指標はいずれ下を向いてくるのではないか。

 景気動向指数の毎月の基調判断は参考材料にすぎないが、景気の山・谷に関する判断は、景気動向指数を基に決められる。CI・一致(現在9系列)の個々の系列が上昇しているか下降しているかを判定し、その比率を示したヒストリカルDI(全系列上昇していれば100%、全系列下降していれば0%)が50%を下回るとその前月が景気の山の候補となる。

 現時点で試算すると、ヒストリカルDIは2018年11月に50%を下回ったため、その前月となる10月に景気は山をつけたことになる。その後もヒストリカルDIは50%割れを続け、最近は0%まで低下している。まだ過去に遡って数字が改定されるので、山のタイミングは前後する可能性があるが、おそらく2018年秋に景気は山をつけ、その後は後退が続いているということになりそうだ。