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度重なる増刷が続く入山章栄氏の最新刊『世界標準の経営理論』。約30ある理論を掲載した800ページを超える大作であるが、各章ごとに完結しているため、本書は初めから読む必要がないのも大きな特徴だ。

とはいえ、いったいどの理論から読み進めればよいのだろうか。そこで約30ある理論のうち、ビジネスパーソンに最も人気の理論をランキング形式で発表する。トップ理論を理解し、これらを思考の軸とすることで、2020年の飛躍につながることは間違いないだろう。

本稿は、12月21日に都内で開かれた本書勉強会において、著者の入山章栄氏が講演した内容を基に再構成した(構成・小島健志)。

 『世界標準の経営理論』著者:入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。 三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。 2013年より早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。2019年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。 著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)がある。
(Photo:Aiko Suzuki)

どの理論から読むのがベストか
読者の最も好きな理論を調査

 世界には数多くの経営理論があります。世界中の学者が集まって、大量の実証分析を行って、科学的に解き明かした真理法則ともいえる理論が存在します。ですが、そうした世界標準とも呼べる経営理論の多くは、ビジネスパーソンに伝わっていませんでした。

 それを皆さんに直接、届けたいと思っておよそ4年間「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」で連載し、今回のような勉強会をこれまで14回行ってきました。

 しかし、経営理論は絶対的な正解を与えるものではありません。そもそも、経営における正解なんてありませんし、おそらくこれから先も見つかることはないでしょう。それでも、考え続けなければなりません。皆さんは、正解のない中で意思決定をして前に進んでいかなければならないのです。

 それでは、よりよい意思決定をするためには何を拠りどころとしたらよいのでしょうか。著名な経営者の言葉でもよいですし、自分の尊敬する先輩の言葉でもよいのですが、世界の英知が詰まった経営理論を「思考の軸」として使うのも一つの手ではないでしょうか。経営理論とは、唯一の正解ではなく、複雑なビジネスや組織のメカニズムに「なぜそうなるのか」という切り口を、明快な説明を与えてくれるものだからです。

 世界で全く新しい「思考の軸」をつくるための経営理論の教科書、その本を作りたい。そう思ってできたのが『世界標準の経営理論』です。いま、皆さんのお手元にある本がそれです。

 この本では、約30の理論を取り上げました。ビジネスパーソンの皆さんは、これだけ知っていれば十分です。それでも、800ページ以上になりますから、辞書や事典以外には見かけない分厚さです。書店に並んでいると威圧感すら感じさせます。

 驚いたのは、その分厚さが受けていることです。TwitterやInstagramなどのSNS上に、本の厚さを表す写真がどんどんアップされています。例えば、この本と一般の本とを並べて比較したり、この本を立ててペットボトル飲料やみかん、おもちゃ、赤ちゃんなど、さまざまなものと比較したりする人がいます。「(インスタ)映え(す)る」みたいです(笑)。

 また、重さが約1キログラムありますから、さすがに持ち運べないと。すると、自宅用とオフィス用で2冊買ったり、一つを裁断して持ち運び用にしてもう1冊を保管用にしたり、電子書籍と紙の本を併せたりと、複数冊需要が生まれています。このような使い方は全く想像していませんでしたが、がんばって定価を2900円に抑えたこともあって、予想以上に売れています。

 ただ皆さん、この本を全部読もうとは思わなくて結構です。それぞれの章で完結しているため、どこから読んでも構いません。とてもお忙しいと思いますから、気が向いたときに、気になったところから読み進めていただいて構いません。

 そうはいっても、どこから読めばよいのでしょうか。そこで今回、皆さん(※1)を対象に、本に紹介した理論の中から、最もお気に入りの理論がどれかを聞いてみようとアンケートを実施しました。題して「My Favorite 理論」ランキング。その結果をお伝えします。

(※1)今回の参加者は、ハーバード・ビジネス・レビュー編集部が主催した入山氏の勉強会に過去に参加したことのある方々であり、読者の中でもビジネス経験の豊富な人が多い。